診療保険点数の改定は2年に1度行われます。来る4月に行われる点数改定の詳細が、2月12日に厚生労働省より発表されました。

 今回の改定の目玉の1つが、主治医機能を評価した「地域包括診療料」です。

 これは、月1万5000円(1割負担で1500円、3割負担で4500円)の費用で、すべての薬や病状の管理および血液検査などの代金を含めて24時間365日対応する「主治医機能」を提供するという制度です。

 日本では主治医(かかりつけ医)の必要性が長らく指摘されているものの、制度として進んでいません。

 その背景には、まず金額の問題があります。同時に、日本の医療は「フリーアクセス」(好きな医療機関を自由に受診できる制度)を維持しているために、主治医機能が実質骨抜きになっていることも問題なのではないかと私は思うのです。

絶滅の危機に瀕する「主治医」制度

 主治医機能を評価する制度は以前もありました。

 1996(平成8)年には「老人慢性疾患外来総合診療料(外総診)」という制度がつくられました。月2回の診察で、血液検査や胸部レントゲンなどの検査代金も含めて、患者の全身を診察し、専門外で他医療機関を受診する場合の相談にも応じるといった主治医機能を評価した制度です。1カ月当たりの費用は1万4700円でした。

 よく機能していた主治医制度だったのですが、老人1人当たり年間18万円のコストは高すぎるとの理由で、2002(平成14)年10月に廃止されました。

 今回の「地域包括診療料」も、金額はほぼ同じ1万5000円/1カ月ですが、検査代金を含めて「月2回の診察」ではなく「24時間365日対応」とするため、新規参入者は見込めません。採算が合わないのです。要件も厳しく、おそらく対応できる診療所は、各都道府県あたり10件も存在しないでしょう。