米フェイスブックが、スマートフォン向けメッセージアプリの企業「ワッツアップ(WhatsApp)」を買収すると発表し、驚きの声が上がっている。
驚きというのはその金額だ。この買収は、40億ドルの現金と120億ドル相当のフェイスブック株で行う。また買収完了後は4年にわたり、ワッツアップの創業者や社員に30億ドル相当のフェイスブック株を付与する。
フェイスブック創業以来最大の買収
これらを合わせた買収総額は190億ドルで、フェイスブックが2012年に買収した写真共有アプリ「インスタグラム(Instagram)」の20倍。同社創業以来最大の買収となる。
今回のワッツアップを巡っては昨年、米グーグルが買収を試みたと報じられたが、その時のグーグルの提示額は約10億ドルだった。
このほかフェイスブックは昨年、写真メッセージングアプリ「スナップチャット(Snapchat)」の買収を試みたが、その提示額は30億ドル。
190億ドルという金額は、米マイクロソフトによるスカイプの買収金額(85億ドル)、米グーグルによる米モトローラ・モビリティの買収金額(129億ドル)も上回っている。
一方でワッツアップは従業員数はわずか55人の企業。このため従業員1人当たりの買収額は3億4500万ドルに上り、近年のM&A(合併・買収)では類を見ない高水準となっている。
「これほど利用されているアプリはほかに類を見ない」
ワッツアップは2009年に創業した米シリコンバレーのベンチャー企業。創業者はウクライナから移民したヤン・コーム氏と米国人のブライアン・アクトン氏で、2人とも米ヤフー出身だ。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、同社の55人の従業員のうち、エンジニアは32人。同社には、マーケティングや広報の担当者もいない。
だが、サービスの利用者は急増しており、その高い成長性がこの大型買収の決め手になったのではないかと米シーネットは伝えている。