ヒット商品やロングセラー商品の開発担当者に「ぜひともここを見て!」というこだわりのポイントを披露してもらうココミテ選手権。今回登場するのは、エスビー食品で商品開発にたずさわる村上誠氏だ。

 香辛料は、種類が膨大にあることはもちろん、同じものでも品種の違い、産地の違い、収穫した季節や加工の仕方でも風味や辛みが大きく変わるという。同社では奥の深い香辛料に関する知識や経験を身につけた者の証しとして、「スパイス&ハーブマスター」という社内資格を設けており、村上氏は14人という数少ない有資格者の1人だ。

 村上氏は延べ4年にわたって「わさび」の商品開発を担当している。2013年10月にリフレッシュ発売した「S&B本生」シリーズの定番「本生 本わさび」、および新しい食シーンを提案した意欲的な新商品「本生 きざみわさび」に関する開発秘話を中心に話を聞いた。

 わさびは、ツーンと鼻に抜ける独特の辛みを持つ世界でも珍しい香辛料だが、おろしたての「生の香り」を加工食品として表現することは、門外漢の想像を超える難事業のようだ。果たして、わさびのエキスパートたちはどのようにしてその課題に挑戦しているのか?

左が、原材料のわさびを本わさび100%とした「本生 本わさび」。サメ皮ですりおろしたようなきめ細かいなめらかさ、清涼感のある風味、辛みが特徴。右は現在発売中の「本生きざみわさび」。控えめな辛さと茎わさびのシャキシャキとした食感が味わえる。