中国経済は2010年に日本を追い抜いて世界第2位の規模になった。わずか30年前、「改革開放」初期、中国は依然として世界極貧国の1つだった。わずか30年でここまで成長したのは奇跡としか言いようがない。どのようにして中国経済は急成長を成し遂げたのだろうか。

中国経済は飛躍的に成長したが・・・

 「改革開放」政策前の毛沢東時代、中国経済の基本モデルは旧ソ連の経済運営を踏襲したものだった。ただし最近の研究では、毛沢東時代の経済運営は厳密には旧ソ連型の計画経済ではなかったと言われている(中国清華大学秦暉教授)。

 確かに毛沢東時代の経済運営は、きちんとした経済計画を立ててそれを忠実に実行していたわけではなかった。建国から毛沢東死去までの27年間、指導部では毛沢東に対する個人崇拝を確立するために、毎年のように権力闘争が繰り広げられ、経済計画の作成はおろそかになり、その実行もいい加減だった。

 「改革開放」政策以降の三十余年、政治運営の中心は権力闘争から経済建設に移行した。1980年代の10年間、市場経済の建設は党の基本方針としてまだ確立していなかった。だが、経済計画の策定と実行はそれ以前に比べていくらか真面目に行われるようになった。このことは中国経済の発展に大きく寄与したと思われる。

 1992年に政府・共産党は市場経済の建設を確認し、一層の経済の自由化を推し進めた。主に市場における価格形成に対する政府の関与が減少し、企業の仕入れ、生産と販売が、企業自身の責任で行われるようになった。市場経済の建設と経済の自由化が中国経済の飛躍的な発展に貢献したのは確かなことであろう。

 しかし、中国経済が世界第2位の規模を誇るようになっても、「メイド・イン・チャイナ」のブランド力は確立していない。アメリカのインターブランド社が発表した2013年のブランド価値ランキング・トップ100社に中国企業は1社も入っていない。この現実をどのように説明すればよいのだろうか。