社会とソーシャルメディアの相関、それが人間にもたらす影響を追い続け、この連載も50回目を迎えた。

 連載が始まってからいまに至るまで、主要ソーシャルメディアのユーザー数は軒並み増加、LINEのような新しいサービスが生まれて急激に普及する一方で、衰退したものもある。それらのユーザー動向は細かく変化し続けている。

 これらは、ソーシャル化する社会が「変わり続けることを宿命づけられた生もの」であることを物語る。

ソーシャルメディアの普及と「承認欲求」

送った写真がすぐ消える、人気メッセージアプリ「スナップチャット」

若者に人気急上昇の新SNS・スナップチャット(写真は本社入り口の同社ロゴ)〔AFPBB News

 ソーシャル化する社会の中で、頻繁に焦点が当てられるようになったものの1つに「承認欲求」がある。

 これについては僕も随分と前から考察を続けているし、この連載の中でも「『つながっていても孤独』という不思議」にて言及している。

 最近も、精神科医で評論家の斎藤環氏による『承認をめぐる病』(日本評論社)や、「大学生に見る若者の『承認』欲求の現在」などにおいて、若者の承認を求める欲求の高まりが指摘されている。

 実際、ソーシャルメディアが人間の承認欲求というものをあらためて浮き彫りにし、承認されたいという欲求を助長するなど、人間の心理に多かれ少なかれ影響を与えていることは事実であろう。

 しかしながら、他人から認められたいという承認欲求は人間に元来備わっている基本的欲求であるし、それ自体が善悪の二極論で語られる類いのものでもない。

 ソーシャル化する社会の中で、承認欲求が極端に高まったり、それにより疲れを覚えたりしながら、落ち着かせる場所を本能にしたがって模索しているプロセスの中に人間がいるのだろう。

 もっとも、承認欲求をソーシャルメディアの中に求めていない人などたくさんいるから、これは社会の一側面にしか過ぎないことも付け加えておく。