ヨーロッパの中で、とりわけ働き者として知られるスイス人。健康管理に気を使って定期的にスポーツに励む人たちも多い一方で、慢性的な肩こりや全身の疲労感などに悩まされている人もたくさんいる。
そんな人たちの救世主がマッサージ師だ。スイスにはアロマオイルを体に塗って行うマッサージ、指圧、リフレクソロジー(足のマッサージ)、理学療法(リハビリ)などを行う専門家がたくさんいる。鍼(はり)治療を行う中国の人も徐々に増えてきている。
そんな中、日本人でマッサージ師として大活躍するワグナー道子は、日本式マッサージが珍しかった10年前からチューリヒで開業している。
開業当初は閑古鳥が鳴くような日もよくあったというが、いまでは大盛況のクリニックに成長した。クリニック「Michiko」でワグナーにインタビューした。(文中敬称略)
ビジネスマンに大人気。開業以来のお得意様も
クリニック「Michiko」は、チューリヒ中央駅から歩いて7分ほどの一等地のビル内にある。
「ここに診療所を構えたのは2004年です。開業したとき、私はチューリヒから1時間半離れた町に住んでいました。そのため、チューリヒには知人も友人もいませんでした。少しずつ宣伝をするよりほかなかったですね」
それがいまや、年末休暇で通えなかったお得意様たちの予約で新年早々から大忙しというワグナーは、「たくさんの選択肢がある中で、私のところに来てくださるのは本当にありがたいことです」と話し始めた。
ワグナーが日本人なのでやはり日本人の顧客はいるが全体の3割程度に過ぎず、顧客の多くがスイス人やスイスに住む外国人だ。
ワグナーは、オイルマッサージ、オイル不使用で指圧のように少し強めにツボを刺激するマッサージ、リフレクソロジー、フェイシャルマッサージなどのマッサージ全般の技術を身につけている。
すべてのマッサージの顧客をまとめてみると4割が男性、6割が女性だという。男性が多いのは、チューリヒ中央駅に近い繁華街という好立地が関係している。
「ビジネス街ですので、みなさん、お昼休みとか仕事帰りに寄られます。スイスらしく銀行員などの金融関係にお勤めの方も多いです」
長い人でどれくらい通っているのかという質問に「うれしいことに開業当初に来て気に入ってくださって、その後もずっと通っている方もいます」と、10年来のつきあいの顧客がいることを教えてくれた。