カンボジアで初の大学対抗ロボットコンテスト(以下ロボコン)をやろうと動き出してみて、今まで知ろうとする機会もなかったいろいろなことが分かってきた。だから、まずは動き出してみて良かったと今は素直に思っている。
例えば、最初に書いた部品をどう調達するかという問題だ。カンボジア国内ではロボットを作るのに必要な部品が手に入らない。
日本でならば簡単に手に入る単3の電池。これを200本手に入れようと、プノンペン市内でも大きな文房具店に行ってみる。「ある?」と聞くと、最初は「ある」と答える。見積りも作ってくれる。
さて、所定の期日までに納品して、という段になると「ない」と言う。これが一軒の文房具店だけじゃない。担当の德田さんは、これを3軒立て続けにやられて、やる気を失ったと言っていた。
何でもあるが、必要なときには「ない」
なんでこんなことが起こるかというと、カンボジアには自国で生産できるものが農産物以外「皆無」であると言っていいからだ。
外国人向けの高級スーパーに行けば、何でも手に入る。でも、例えば、たまにしか購入しない歯磨き剤とか歯ブラシなどは、以前購入したブランドが二度と見つからなかったりする。
ハンドクリームも同じものを見つけるのは至難の業だ。綿棒はたくさんあるのに化粧用のコットンがないとか、生理用品があふれているのにサイズや種類が1つしかないとか。
アルミホイルもラップも、あるにはあるけれど、以前買って気に入ったブランドは次回行っても手に入らない。今日あるものが、明日もあるとは限らない。だから「ある時にまとめて買っておく」しかない。
つまり、ものは溢れているように見えるけれど、外的・内的な要因で供給が突然ストップしたり、あるいは極端に数が減ったりする。当然値段は釣り上がる。自国で生産できない、ということはこういう脆弱な側面を持っているのだ。