米国半導体工業会(SIA)がまとめた最新の調査によると、今年5月の世界の半導体売上高は前の月に比べ4.5%増の247億ドルとなり、2カ月連続で過去最高額を更新した。7カ月連続でプラス成長している。
パソコンや携帯電話が市場を牽引
牽引役となったのは、パソコン、携帯電話、企業のIT機器、産業機器、自動車。中国やインドといった新興国の需要増がコンピューターや通信機器の売り上げを押し上げた。
自動車はここ数年の販売不振からようやく抜け出し、緩やかな回復に向かっている。また企業のIT機器や産業機器の買い換えサイクルは景気後退期に長期化していたが、ここに来て正常化しつつあるという。
5月の売上高を前年同月と比べると47.6%の増加となる。増加率は前月の50.4%からわずかに低下しているが、これは事前の予想通りで、今後も増加率は低下していくとSIAは見ている。ただし半導体需要が堅調であることには変わりはない。
2009年の前半は景気低迷の影響を受けて著しく落ち込んだ時期。今年前半はその反動で増加率が高かっただけ。需要は2009年の後半から回復しており、今年後半の増加率が低下していくのは当然というわけである。
SIAのジョージ・スカリーズ会長は、「欧州の財政危機、消費意欲の減退、政府財政支出の削減圧力といった懸念はあるものの、今のところ半導体市場にその影響は出ていない」とコメントしている。
SIAは2010年における世界半導体売上高が前年比28.4増の2905億ドルになると予測しているが、スカリーズ会長は「5月実績のペースで推移していけば、この予測額に到達する」と楽観的に見ている。
アジア太平洋地域、2014年には45%のシェア
一方で米国の調査会社IDCが予測する2010年の売上高は2740億ドルと半導体工業会のそれよりは控えめだ。ただしIDCは、2011年には2950億ドル、2014年3440億ドルと今後年平均8.8%の増加率で市場は成長していくと見ている。
2010年に著しく伸びる製品分野はメモリーで、前年比52%増の667億ドルになる見込み。モバイルパソコンや、ネットブック、消費者向けタブレット端末、スマートフォンの需要増が牽引するとしている。