米マイクロソフトによるフィンランド・ノキアの携帯電話事業買収計画について、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4日、これを承認すると発表した。

 この買収計画については、先頃、米国の連邦取引委員会(FTC)と司法省(DOJ)が承認したほか、ロシア、トルコ、イスラエル、インドでも承認が得られている

 これによりマイクロソフトは買収手続きが予定通り来年の1~3月期に完了すると見込んでいる。今回の欧州委員会の発表を受け、マイクロソフトはさっそく声明を出し、「条件なしで欧州委員会からの承認を得られたことをうれしく思う」などと述べている。

「ほかのメーカーを締め出せない理由」を説明

マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を7000億円超で買収

かつて世界最大の携帯電話会社だったノキアだが、スマートフォン市場では衰退が著しい〔AFPBB News

 ノキアと言えばかつては世界最大の携帯電話会社だった。一方マイクロソフトはパソコン向けソフトウエアの世界最大手だ。

 企業の市場独占に厳しいことで知られる欧州委員会がなぜこうも簡単に今回の買収を承認したかと言うと、理由はスマートフォン市場におけるノキアの衰退と、スマートフォン向け基本ソフト(OS)市場におけるマイクロソフトの影響力の小ささにある。

 欧州委員会は同日出した発表文で、「両者の事業活動に重複部分は少なく、マイクロソフトのモバイルOS、モバイルアプリ、企業向けメールサーバーソフトウエアと、ノキアのモバイル端末との連携は、競合企業を市場から締め出すことにつながらないと判断した」と述べている。これにより、競争法に抵触するような懸念はないとの結論に達したという。

 欧州委員会はその具体的な理由を挙げている。

 例えば、スマートフォン市場は米グーグルの「アンドロイド(Android)」と米アップルの「iOS」が2強のOSとなっている。マイクロソフトがこの分野で自社OSのシェア拡大を図るためには、買収するノキアの携帯電話事業だけでは不十分。同社はほかのスマートフォンメーカーから協力を得る必要があり、ウィンドウズフォンOSの供給を制限し、メーカーへの提供を拒むという可能性は低いという。

 また欧州委員会は、「オフィス」や「スカイプ」といったモバイルアプリの他社への提供をマイクロソフトが拒むという可能性についても調査している。