過去10年間で実質GDPが倍になるなど、大幅な経済成長を遂げたフィリピン。今では首都マニラには高層ビルが立ち並び、コンドミニアムへの投資も盛んになってきている。以前の貧しさや治安の悪さが際立つイメージは払拭されるべき時が来ている。

 この躍進を下から支えているのは、実は「英語のフィリピン」だ。元々、島によって言語が異なっていたため、フィリピンでは英語が事実上の公用語となっている。この特徴を活かし、英語が使える割には安価なメイドとして、長年にわたり多くのフィリピン人女性が世界中の各国で出稼ぎしてきた。

 昨今の通信コストの劇的な低下につれて、米国系企業が英語圏の顧客に向けたコールセンターをフィリピンに開設するケースが増加してきている。さらに、アジア通貨危機の後、韓国人が英語学習のために多数訪れるようになり、短期間で英語能力を向上させることが一般的なものとなった。

セブ島に日本人向け英語学校を開設した柴田さん(写真提供:筆者、以下同)

 遅ればせながら、日本でも「Skype英会話」が広がりを見せ、「英語のフィリピン」を享受するようになった。

 次いで注目が集まっているのが「フィリピン英語留学」だ。Skypeで話すだけではなく、現地に滞在することで、もっと本格的に英語能力を鍛えようというものだ。

 今回は、フィリピン・セブ島で日本人向け英語学校「サウスピーク」を起業した柴田浩幸さん(33歳)に、現地での起業事情についてお聞きしたので、この紙面で共有したい。あとに続く日本人起業家の皆さんの参考になればと思う

11月8日にフィリピン中部を襲った台風30号による甚大な被害は報道されているとおりです。ただし、マニラやセブ島ではほとんど被害はなかったため、市内は以前の状態を取り戻しており、日本人が訪問するのに障害はないとのことです。

自分のように苦労しなくても英語習得ができる環境を提供したい

――どうしてフィリピンを選んだのですか

柴田 私自身、社会人になってから英語を習得しようとして渡米し、「数年間にわたる時間」そして「数百万円近くのお金」を費やした経験を持っています。

 日本という国が「英語ができない」ことで不利な状況に置かれている状況を踏まえ、また、あとに続く日本の人たちには、自分と同じような苦労をしなくても英語を習得できる環境を提供したいと考えました。