中国当局が米国などの外国メディアへの弾圧を強めてきた。

 中国共産党の首脳部が好まない報道を流した新聞社や通信社には、新たな記者の中国駐在を拒み、外国メディア自体の中国国内でのビジネス活動をも阻むようになったという。この措置はかつてないほど組織的で大規模に行われているようだ。

 その結果、外国メディアの側もこの脅しに屈し、批判的な中国報道を自粛する動きが生まれてきたという。わが日本のメディアにとっても真剣に対応策を考えざるをえない中国政府の新たな攻勢だと言えよう。

ムーニー記者がビザ発給を拒否された理由

 中国共産党は11月9日、第18期中央委員会第3回総会(3中総会)を開き、経済政策での「改革開放の深化」を宣言した。だが現実には中国首脳部はこのところ「改革開放」とはまったくの逆方向の抑圧や規制を内外で強化するようになった。

 自国の記者たちの弾圧もその1つだが、意外と知られていないのは外国メディアへの無法な締めつけである。中国共産党に不利になるニュースを報道した外国メディアには中国駐在記者の入国を拒むというような弾圧措置が、組織的、体系的に取られるようになったようなのだ。

 その弾圧を受けた1人に国際通信社ロイターの米国人記者、ポール・ムーニー氏がいる(注:ロイターは、カナダ系の情報企業トムソンがイギリスのロイター通信を買収した総合通信社で、正式名はトムソン・ロイター)。ムーニー記者は次期中国駐在特派員に予定され、中国駐留ビザを申請していた。しかし11月8日、中国外務省はムーニー記者にビザ申請却下の方針を伝えた。

 複数の米国報道機関によると、同記者はサンフランシスコの中国総領事館を通じて、中国駐留のための記者ビザを2013年4月に申請していた。だがそれ以降7カ月ほど中国側からなんの返事もないまま、今回の申請却下の連絡が来た。