イランの核問題の適正解が見つかるか、というのが、現在の世界の大きな課題である。これを放置すれば、イランが核兵器を保有するか、イスラエルがイランを攻撃するかという二者択一の結果にしかつながらないと見られてきたからだ。

 そして、ジュネーブでのイランとの交渉が始まった今、世界は、イランとの交渉の成功に大きな期待を抱いている。すでに多くの見方は、慎重ながらも、交渉の成功に過度な期待を抱いているかに見える。果たして、今回の交渉は、そうした期待を裏切ることはないのだろうか。

平和的な核開発しか行っていないと主張

 イランの核開発がそもそもなぜ問題かといえば、(1)核拡散防止条約(NPT)の枠外で核開発を追求しているのではないかという本質的な疑問に加えて、(2)イスラエルがイランの核開発を一切認めないという姿勢を堅持していること、(3)イランが核兵器を持てば、中東地域において核ドミノが発生し、サウジアラビアをはじめとして中東が戦略的に不安定化しかねない、という3つの問題に絞られよう。

 イスラエルの立場は、イランがイスラエルの滅亡を狙っている以上、イランが核兵器を保有することはいかなる意味でも許容できないという立場である。イスラエルがこのような立場を取る限り、例えば、米国議会も同盟国であるイスラエルを守るために、イランの核開発を一切許容できないという厳しい立場を取ることになる。

 他方、イランは、平和的な核利用の権利はいかなる国にも認められているのだから、ウラン濃縮の権利を含め、平和的な核開発を進めることはイランの権利であると主張する。

 もっとも、その主張、特に平和的な核開発しか行っていないという主張には、これまでの一連の国際原子力機関(IAEA)による事務局長報告などを通じて、数々の深刻な疑念があることが明白になってきており、国際社会は額面通りにイランの主張を受け取ることはできないわけである。

 したがって、イランとの交渉にあたって、国際社会は、イスラエルの要求とイランの主張の双方を満たすような解の提示を求められている。ところが、一見したところ、そのような解は出せそうにもないというのが偽らざる真実だ。

国際社会の要求に向き合わないイラン

 実際、「P5プラス1」(国連安全保障理事会常任理事国のアメリカ、ロシア、フランス、イギリス、中国にドイツを加えた6カ国)によるイランとの交渉は、これまで何度も暗礁に乗り上げてきている。

 国際社会は、これまで、(1)イランによるウラン濃縮の停止、(2)これまでに濃縮した高濃縮ウランの国外搬出、(3)IAEAによる包括的な査察の実施、の主要3点を要求し続けてきている。これに対して、イラン側はこれまで一度も満足な返答を行わず、もっぱら、国際社会による経済制裁の解除が前提であるとして、問題の入り口にとどまり続けてきたのである。