現ローマ教皇は「清貧」と「改革」を目指す
さて、現在のローマ教皇フランシスコは、突然辞めてしまったベネディクト16世の後を継いで、今年の3月に就任した。最初から、「貧しい人々のための貧しい教会」をモットーに、質実剛健を提唱している。
それ以来、ローマ教皇の車は小型車になってしまったし、ほかにも切り詰められた贅沢品は多い。最初のうちこそ、私は、何だか胡散臭いと疑っていたが、最近、この教皇の改革の意志は、本物かもしれないと思うようになってきた。
というのも、まず夏に、同性愛に対して理解を示そうと言い出して、皆をびっくりさせ、つい最近では、再婚者を優遇しようと言い出し、これまた皆をびっくりさせているからだ。
はっきり言って、カトリックの世界でこれらの発言は、ほとんど革命に等しい。中世なら、教皇はすでに暗殺されていただろう。いや、今だって、分からない。2000年の間、固く守られてきたことを、ひっくり返そうというのは、命懸けに違いない。
同性愛はカトリック教会のタブーだ。本当は、同性愛者は聖職者に多いと言われているが、それは別の話。また、離婚も再婚もカトリック教会は認めない。だから、再婚者が教会で挙式し、祝福を受けることは、絶対にない。
しかし、この調子でいくと新教皇は、避妊禁止や、聖職者の妻帯禁止なども、揺さぶり始める可能性がある。おそらく、カトリック原理主義者の間には、かなりの危機感が漂っているのではないか。カトリック教会の保守主義は筋金入りである。
いずれにしても、今回のリンブルクの司教の事件ほど、新教皇フランシスコの方針にそぐわないものはない。
そうこうする間に、ドイツ司教の親玉であるロバート・ツォリチ大司教までが、リンブルクの問題司教を、「司教職に留まるのは想像しがたい」と、強く非難し始めた。そして、教皇とこの問題を協議するために、バチカンに飛んで行ってしまった。
問題司教も慌ててそれを追ったが、16日の時点では、彼はまだ教皇のアポイントメントを貰えていないようだ。ちなみに、バチカンへは格安飛行機で飛んだというから、笑える。
