現在韓国で一番の観客動員数を誇っている映画は「雪国列車」という韓国映画である。8月18日現在、800万人を突破した。

 しかし、内容はともかく、ほとんどの台詞は英語で、主役もハリウッドスターという韓国映画らしからぬもの。主役どころか、端役も外国人で、韓国人は準主役の2人だけだ。だが、監督、製作者は韓国を代表する2人の監督だ。

原作はフランスの漫画

主人公ではないが、最後まで熱演する韓国映画の大御所、ソン・ガンホ

 特に、監督のボン・ジュノ氏は2006年の「グエムル-漢江の怪物-」で、観客動員数1300万人を超え、韓国で最高の記録を持っている。

 それだけにこの作品も1000万超えになるか、または記録を塗り替えるのではないかと期待感が高まっている。今回は製作側に回った、パク・チャヌク監督も「親切なクムジャさん」などのヒットを飛ばす、超大物監督である。

 さて、『雪国』と言うと、「国境の長いトンネルを越えるとそこは雪国だった・・・」で始まる川端康成の小説を思い浮かべてしまうが、これからから紹介する「雪国列車」はそれとは全く関係のない内容である。

 原作はフランスの漫画「Le Transperceneige」で、脚色により映画は漫画とは物語の筋も結末も違ったものになっている。

 世界中で温暖化が叫ばれ、近未来において各国ではCW-7という大気を冷却させる物質をばらまくことになる。その結果、地球には再び氷河期が訪れた。

 その頃、止まることのないエンジンを搭載した1つの列車以外に人々は住む場所をなくしてしまった。裕福な人たちは、雪国列車に乗り込むことができたが、列車のチケットを買えなかった人たちはやっとの思いで列車の最後尾に乗り込んだ。

 それ以外の人たちは凍死した。列車はどの駅に止まることもなく、世界を回り続け、いつしか17年もの歳月が流れた。列車が世界を1周する度に1年が過ぎる。

 最後尾の人々はいつもエンジンを搭載している最前列の車両へ行こうと試みるが、いつも攻める側と守る側、両者に多数の死傷者を出しながら、成功できなかった。17年目の今年も最後尾の人たちのリーダー格になった主人公が最前列に向かって出陣しようとする。