マット安川 毎月東アジア各地を巡って取材されている、評論家・宮崎正弘さんがゲスト。日本のニュースでは知り得ない海外現地リポート、初めて聞く話がほとんどでした。

中国経済のバブル崩壊はすでに始まっている

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:宮崎正弘/前田せいめい撮影宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏
評論家、作家。国際政治・経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウォッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。近著に『オレ様国家 中国の常識』『2012年、中国の真実』『中国が世界経済を破綻させる』など。メールマガジン『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』を発行。(撮影:前田せいめい、以下同)

宮崎 中国の経済成長率は7%だっていいますけど、国家統計局が作ってる数字はでっち上げです。

 だいたい李克強(中国首相)が信用してないというぐらいですからね。彼がアメリカ大使と会ったときのそういう発言をウィキリークスが曝露して、今や世界の常識ですよ。

 GDP成長率は完全なインチキとして、多少は本当の数字もあります。

 コンテナ取扱数、電力消費量、通貨供給量なんかはごまかせません。あと失業率です。今流動人口が2億6000万人いるんですね。農地をなくした農民が5000万人いたり、大学の新卒者700万人のうち450万人は職に就けなかったりというのが実情です。

 こういう数字で推し量ればだいたいの成長率が分かります。たぶん実際には3%を切ってると思いますよ。いずれにしても7%なんてウソに決まってます。

 日本のマスコミはいよいよ中国経済が危ないと言い始めましたが、私に言わせれば中国のバブル崩壊はもう始まっています。

 今まではカンフル注射を打ってきたわけですよ。つぶれかけのデベロッパーから大企業まで。今は高利回りの理財商品を預金者に売って、それで金を集めて不動産投資をやっている。これはもはや生命維持装置で生きながらえている状態です。

 しかし中国というのは面白い国で、あらゆる経済理論が適用できないんです。西側のわれわれが考えているような、論理的帰結とは無縁なのが中国的特性でね。

 また奥の手をやりますよ。札ビラを今よりもっと刷ってね。そしたら人民元の価値が下がりますけど、かまわないからやっちまおうと。

 最近、東南アジア諸国を回っているんですが、華僑が朝から行列を作って金を買っていたのには驚きました。ラオスでもタイでも、分厚い札束を持ってね。そのうち何か起きてもおかしくないと思ってるんでしょう。

軍のご機嫌とりに汲々の政治局。中国の実権はいずれ軍が握る?

 この半年で分かってきましたが、習近平(中国国家主席)の指導力には限界がありますね。もともとが前の民主党政権におけるアノ方みたいな、つまりはお坊ちゃんでしょ。独自のカラーというものが何もないんですよ。