ウィリアム王子とキャサリン妃の間に第1子が誕生した。チャールズ王太子、ウィリアム王子に次ぐ英国王位継承順位第3位のロイヤルベイビーの名はジョージ。

 英国には、ヘンリー、エドワードという名の王が過去8人いるが、ジョージ王もそれらに次いで6人と3番目に多い。

300年前に即位したジョージ1世

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ウィリアム王子、キャサリン妃とロイヤルベイビー、ジョージ〔AFPBB News

 ジョージ1世は、今から300年前、1714年に即位した。今の王室までその血が続くハノーヴァー朝の始まりである。

 崩御したアン女王に嗣子がいなかったことから、「ステュアート家の血を引くプロテスタント」のみが王位を継げるというできたての法律「王位継承法」に従い、同君連合としてハノーヴァー公国から招かれたものだった。

 そんな経緯もあって、満足に英語が話せなかった国王の英国への興味は薄く、内閣に丸投げされた政治は責任内閣制を発展させる方向へと向かっていった。

 その頃のグレート・ブリテン島は、同君連合体制を取っていたスコットランドをイングランドが連合法(Acts of Union 1707)で取り込み、「グレート・ブリテン王国」という1つの国になったばかり。

 独自の議会を失い、カトリック教徒も少なくなかったスコットランドでは、不満が渦巻いていたことは、スコットランドの作家ウォルター・スコットの小説でも知られる実在の英雄の物語『ロブ・ロイ ロマンに生きた男』(1995)でも描かれている。

パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉

 欧州列強の勢力争いの場でもあったカリブ海を舞台にした人気シリーズ第4作『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』(2011)には、開巻間もなく、ジョニー・デップ演じる海賊が、ジョージ2世の前に引きずり出され、英国のために「生命の泉」を探し出すことを強要されるシーンがある。

 もちろんこの話はフィクションだが、実際、欧州での戦争に呼応した多くの戦いが「新大陸」でも繰り広げられていた。そして、そんな戦いの1つ、フレンチ・インディアン戦争で、英国はミシシッピー以東のルイジアナをフランスから獲得することになる。

 しかし、戦費はかさみ、広大な植民地を維持するための財源は乏しかった。そこで思いついたのが、植民地への増税。ところが、そのことに反発を高めた米国を独立へと突き動かしてしまうことになるのである。