かねて報道されていた通り、米マイクロソフトは先週、大規模な組織再編計画を発表した。同社ではこれまで、パソコン向け基本ソフト(OS)の「ウィンドウズ」や「オフィス」ソフトウエア、ゲーム機、オンラインサービスといったように、製品・サービス別で事業部門を設けていたが、今後はそれぞれの役割ごとに部門を分割する「機能別」の組織構造にする。
同社のスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は、昨年から「デバイスとサービスに注力していく」という戦略を発表していたが、新たな組織構造はそれを色濃く反映するものになったと言われている。
バルマーCEOがこの組織再編計画に際して強調したのが「1つのマイクロソフト」。同氏はこの言葉を件名にした電子メールを全従業員に送り、同社が一丸となって技術革新に対応しなくてはならないと訴えた。
ただし、今回の改革は2000年にバルマーCEOが就任して以来最大規模。幹部陣は製品別の事業体制に慣れ親しんでおり、新体制への移行には時間がかかりそうだと言われている。
1つの製品を複数の部門で担当する「機能別」組織
マイクロソフトの新体制とは、エンジニアリング、マーケティング、戦略および研究開発、ビジネス開発、財務、法務、人事といった部門を設けるというもの。
そしてエンジニアリングには「OS」「デバイスおよびスタジオ」「アプリケーションおよびサービス」「クラウドおよびエンタープライズ」の4部門を設置する。
このうち米ウォールストリート・ジャーナルが注目すべきと取り上げている部門担当幹部が3人いる。
1人は新たなOS部門のトップとなったテリー・マイヤーソン氏。
同氏はこれまでオンラインサービス事業の1部門だった「ウィンドウズフォン」を担当していたが、今回主力製品であるウィンドウズを任され、今後はパソコンのほか、モバイル端末、ゲーム機といった様々なOSを統括していくことになる。