英BPは毎年中頃、世界各国の天然資源の埋蔵量・生産量・消費量などに関する独自の統計資料を発表しており、日本では今年7月5日、都内のホテルで発表会が開催されました。
英BP、世界の天然ガス確認可採埋蔵量発表
統計資料速報値は6月中旬に発表されましたが、発表されたBP統計2013年度版によれば、世界の天然ガス確認可採埋蔵量は2012年度版の208.4兆立方メートル(2011年末現在)から187.3兆立方メートル(2012年末現在)へ、21兆立方メートル(約10%)も減少しました。
ロシアの天然ガス確認可採埋蔵量は44.6兆立方メートルから32.9兆立方メートルとなり、実に前年比26%の減少となり、埋蔵量としては世界第2位に転落。代わってイランの確認可採埋蔵量が33.1兆立方メートルから33.6兆立方メートルとなり、世界第1位の天然ガス埋蔵量となりました。
ちみに、トルクメニスタンは24.3兆立方メートルから17.5兆立方メートル(前年同期比▲28%)に、カザフスタンは1.9兆立方メートルから1.3兆立方メートル(同▲32%)に減少しました。
原油や天然ガスなどの天然資源は減耗資産と呼ばれており、採取・生産すれば、その分量のみ埋蔵量は減少します。ですから、新規埋蔵量が発見されない場合、生産された分のみ確認可採埋蔵量は減少します。
昨年2012年のロシアの天然ガス生産量は約6550億立方メートルです(ロシア側発表)。6550億立方メートルの天然ガスが生産されて、新規埋蔵量発見がなければ、ロシアにおける確認埋蔵量減少は6550億立方メートルのみのはずです。
では今回、なぜ世界のガス埋蔵量は1年間で21兆立方メートル、ロシアでは12兆立方メートル、トルクメニスタンでは7兆立方メートルも減少したのでしょうか?
地球上から21兆立方メートルの天然ガスが消滅してしまったのでしょうか?
実は、今回の確認可採埋蔵量減少は旧ソ連邦諸国の埋蔵量減少によるものですが、これは西側の確認可採埋蔵量基準と旧ソ連邦諸国の確認可採埋蔵量概念の相違に起因します。