米アマゾン・ドットコムは6月21日、同社の電子書籍リーダー端末「キンドル(Kindle)」の値下げを明らかにした。6インチディスプレイを備える廉価モデルの価格をこれまでの259ドルから189ドルにし、同日出荷分から新価格を適用すると発表した。

競合よりも10ドル安く

米アマゾンの読書端末「キンドル」、最新モデルは新聞・雑誌も読める大画面

米アマゾンの電子書籍リーダー端末「キンドルDX」〔AFPBB News

 新聞などのコンテンツが読みやすい9.7インチ型の「キンドルDX」は従来通りの489ドルとし、廉価モデルとの価格差が大きく開いた格好だ。

 アマゾンの値下げは、書店大手バーンズ&ノーブル(B&N)の値下げに対抗したもの。バーンズ&ノーブルは同日、同社の「ヌック(NOOK)」端末の価格を従来の259ドルから199ドルに値下げすると発表した。

 バーンズ&ノーブルは同時に携帯電話網のデータ通信機能を備えない、無線LAN(Wi-Fi)接続のみに対応する新モデル「ヌックWi-Fi」を発表し、従来モデルの新価格より50ドル安い149ドルで発売することも明らかにした。

キンドルなどの電子書籍端末、相次いで値下げ iPadに対抗

米書店大手バーンズ&ノーブルの電子書籍リーダー端末「ヌック」〔AFPBB News

 米ニューヨーク・タイムズの記事によると、アマゾンの値下げは、バーンズ&ノーブルの値下げが明らかになった直後に発表された。今後端末の市場は100ドル台時代に突入し、熾烈な競争が繰り広げられそうだと報じている。

 また今回の両社の値下げは、米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」に対抗する動きだと記事は伝えている。アイパッドの登場で製品の差異化を迫られた両社は、価格競争力をもってアイパッドに対抗するというのだ。

1年以内に100ドル端末も登場か?

 ただ、アナリストらはこうも急速に変化が表れるとは予想していなかったという。アナリストらは書籍専用端末はいずれ値下げされると見ていた。

 部品コストの低下と、コンテンツ販売による利益の増加により、値下げは自然な流れだからだ。しかしこれまで、価格は緩やかに下落するものと考えられていた。

 米ウォールストリート・ジャーナルでは、アマゾンとバーンズ&ノーブルによるアイパッドとの差異化を狙った動きに加え、出版社によるコンテンツの値上げ圧力がこのような状況をもたらしたと分析している。