以前、「沖縄の『独立』を日本は止められるのか」という記事を書きました。書いた理由は、スペイン・カタルーニャ州の分離独立派のニュースを見て連想したからに過ぎませんでした。

 しかし記事掲載の1カ月後に、沖縄独立論の旗手である龍谷大・松島泰勝先生の記事が出ました。その松島先生が今年の5月に琉球民族独立総合研究学会を設立します。これに日中両政府が強い関心を持ち、現在両政府が熱心に情報収集を始めているようです。

 個人的には、「私は預言者になったのか?」といった気分ですが、実はこの預言者、中国の対応に少々失笑しています。まさか中国は私の言うことを聞いて今回のような動きをしているわけではないでしょう。

 まかり間違って私の言うことを聞いていたとするなら、記事を誰が目にするかを考えておくべきでした。私の認識ではJBpressは日本人を対象としたメディアで、中国人に読んでもらうことを前提としていません。中国人を読者対象として見るなら、私は全く別の記事を書きます。

フランスではなくスペインになびいていったイタリア諸国

 今回は中国の立場に立って、尖閣諸島のみならず、中国が欲しがる他国の領海を取るにはどうすればいいのかを考えてみましょう。3回連載になると思いますが、読んで私を国賊だとなじる人が出てくるようなら、説得力があったということで“成功”と言えるでしょう。

 <風習・言語を異にする地域を治めるばあい、君主は近隣の力の弱い国々の盟主となり、庇護者になるように努めなければいけない。また、同じ地域の強国の勢力を弱めるように腐心し、不測の事態が起こっても、自分と対等の、力のある外部勢力の介入を許さないように、おさおさ警戒を怠ってはならない。>

(『君主論』、マキアヴェリ著、池田廉訳 中公文庫)

 マキァヴェッリがチェーザレ・ボルジアを高く評価していたのはよく知られています。チェーザレはローマ教皇軍総司令官の地位を使ってロマーニャ地方を侵略して君主となりましたが、そうした成功が得られたのには、フランスの失策が背景にありました。

 マキァヴェッリがフィレンツェの書記局に勤めていた頃、フランスがイタリアを狙っていました。フランス王ルイは、同じく領土拡張の野心のあったヴェネツィアと組み、ロンバルディアを取ろうとしてミラノ(ロンバルディアの州都)を攻め、わが物とします。