米インターネットサービスAOLのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)子会社「Bebo」が米国の投資会社クライテリオン・キャピタル・パートナーズ(CCP)に売却されることが明らかになった。
両社は売却金額について公表していないが、欧米のメディアは1000万ドルとも、250万ドルとも伝えている。ウォールストリート・ジャーナルは「異常なほどに刺激のない数字」「完全な価格破壊」と表現している。
AOLは2008年5月、新たな収益源を模索する中、英国などのティーンエージャーに人気だったBeboを8億5000万ドル(約771億円)で買収。AOLが持つインスタントメッセージングなどのコミュニティーサービスとの相乗効果に期待した。
スティーブ・ケース元会長がツイッターでつぶやく
しかしそれは失策だったと米ニューヨーク・タイムズは報じている。
「2000年のAOLによる1640億ドルの米タイム・ワーナー買収は史上最大規模の悲惨な取引だった。それに比べればBeboの規模は小さいが、同じくらいの失策だ」
「8億5000万ドルでBeboを買ってその2年後に1000万ドルで売る。これは勝利のための戦略とは言い難い」。あまりにも驚いたのか、AOLの共同創設者で元会長のスティーブ・ケース氏でさえ思わずこうツイッターにつぶやいたと記事は伝えている。
Beboはかつて数百万人の熱心なユーザーを持ち活況を呈した。Beboを買収した当時、AOLのランディー・ファルコ最高経営責任者(CEO)は「形勢を一変させる買収だ。Beboの買収でAOLはソーシャルメディアのパワーハウスになる」とコメントしていた。
Beboの買収は、会員制のインターネット接続サービスから、広告ベースのメディアビジネスへと転換するAOLの戦略の一環として決まった。AOLは大量のユーザーがこのSNSに押し寄せ、広告収入がもたらされると見込んでいた。しかし事実はそうならなかった。