通常国会が会期延長されることなく6月16日で閉幕し、参議院議員選挙は6月24日公示・7月11日投開票の日程で行われることが確定。各政党は事実上の選挙戦に突入した。

 相次いで公表されている各政党の選挙公約(一部政党は原案段階)から名目GDPの目標数値を取り出してみると、以下のようになる。民主党主導の菅内閣が2020年度までの平均で名目+3%超・実質+2%超を目指すとしている中で、その他の政党が目指すとしている名目GDPの伸び率もまた、軒並み+3%以上の数字になっている。

図表1:
参院選に臨む各政党の選挙公約(一部政党は原案段階)で、達成するとされた名目GDP成長率
  現有議席
(うち改選)
公約で掲げた
名目GDP成長率
左記実現のための主な施策
民主党 116(54) +3%超(20年度までの平均) 成長戦略(法人減税含む)、日銀と協力
国民新党 6(3) +5%以上(今後3年間で) 100兆円規模の財政・金融政策
自由民主党 72(38) +4%(今後3年間で) 法人減税、下限ゼロを超える物価目標
公明党 21(11) +3~4%程度(3年をめどに) 法人減税、日本版物価目標政策導入
共産党 7(4) n.a. n.a.
新党改革 6(5) n.a. 法人減税、「大阪特区」、インフレターゲット
社会民主党 5(3) n.a. 7つの柱「いのちとみどりのニューディール」
たちあがれ日本 2(1) n.a. 法人減税、日銀も支援し民間貸出10%増
みんなの党 1(0) +4%以上 法人減税、政府と日銀の物価目標共有

出所: 各政党HP・各種報道よりみずほ証券金融市場調査部作成

 このように、政治的な「目標」は高い数字になっているが、過去の「実績」は、実にさびしい数字にとどまっている。「目標」はインフレだが「現実」はデフレ、とでも言えようか。

 小泉・安倍内閣はデフレからの脱却を重視し、名目2%成長の実現を目標として掲げた。しかし、日本経済が年度ベースで名目2%成長を達成したのは、1996年度に前年度比+2.3%を記録したのが最後である。しかも、この年度は、翌1997年度からの消費税率2%引き上げを控える中で、年度の最終四半期である1997年1-3月期の名目GDPが駆け込み需要によって持ち上げられたという特殊要因が含まれていた。1996年度よりも前までさらに遡ると、1992年度の名目GDPが前年度比+2.0%を記録したのが最後の名目2%成長、ということになる。