雨上がりの空にフワッとかかる虹のように、街角の壁に、輝く虹色の絵が現れた。スプレーの絵ではない。なんだか立体感がある。色紙? そう、何枚もの折った折り紙を張り合わせたOrigamiストリートアートだ。
「うわぁ奇麗!」「何なに?」と通りがかった誰もが惹きつけられてしまうこの作品には、パリ在住のマドモアゼル・モーリス(Mademoiselle Maurice)の熱い思いがギュッと込められている。モーリスはおそらく、いま世界でOrigamiストリートアートを繰り広げるたった1人のアーティストだ。(文中敬称略)
日本に降り立った日に、折り紙と出合った!
拡大画像表示
モーリスのOrigamiストリートアートは、街行く人の間だけでなく、メディアの中でも注目を集めている。ル・モンド紙をはじめとしたフランスではもちろん、世界中の雑誌が続々と取り上げている。
日本向けのインタビューは今回が初めてで、モーリスは望外の喜びといった表情を浮かべた。この折り紙の作品に取り組み始めたのが、2010年初秋からの日本滞在がきっかけになったからだ。
「折り紙は、日本に着いた日の宿泊先で、初めてきちんと知りました。折り紙の折り方の本が数冊置いてあったのです。説明は読めなかったけれど、図を見ながら、花とか動物とかを作ってみたら、とても楽しくて。びっくりしました。フランスで折り紙の本がよく見られるようになってきたのは、2~3年前ごろからです。私は、その日まで折り紙を折ったことがなかったのです」
拡大画像表示
「神社に行くと、折り紙の鶴が束になって飾られていることがよくあって、とても印象的でした。折り紙は鶴なら鶴1羽を作って完成で、1枚で1つの形を作るだけと思っていたけれど、そうやって何個も集めて1つの大きな作品にしているのは素敵でした」
そんな折り紙との出合いが、そう遠くない将来にストリートアートへと発展するとは思いもよらなかった。
日本ファンのボーイフレンドと一緒に降り立った日本は、想像した以上だった。毎日楽しくて仕方がなかった。