北朝鮮が核実験を行った翌日、バラク・オバマ大統領は連邦議会で恒例の一般教書演説を行った。だが、約1時間の演説の中で、北朝鮮の核実験について言及したのはたった2行だけだった。
オバマ政権の北朝鮮政策は失敗
「安全と繁栄というものを手にできるとするなら、それは国際社会が認めた責務を果たしてのみ実現できることを北朝鮮政府は知らなくてはいけない」
「昨夜のような挑発行動(核実験)を取ると、自分たちを孤立化させることになり、米国は同盟国と共にミサイル防衛システムを強化して、この脅威に確固たる措置を取る」
核実験が演説前夜のことだったとはいえ、政権2期目にあたって、北朝鮮に対する断固とした立場を明確な具体策として示すべきだった。アジアへ重心を移しているオバマ大統領は、東アジアの安全保障のバランスを崩した北朝鮮に対して、新たな挑戦状を突きつけてもよかった。
今回の核実験で、北朝鮮は確実に核保有国の仲間入りを果たした。それは核不拡散と核軍縮でノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領にとって、ここまでの北朝鮮政策が完全に失敗したことを意味してもいた。冒頭の2行の言説は真っ当な言い分だが、米国が効果策を提示できていないことを証明している。
一方の中国はどうか。中国の新華社通信は核実験について、「国際社会の反対を無視した行為で、朝鮮半島情勢をより悪化させる。実に愚かな行為だ」と批判してみせたが、習近平総書記がトップに立っても北朝鮮に強い影響力を行使できずにいる。
むしろ胡錦濤政権時代よりも北朝鮮に対して距離を置く姿勢に出ており、「手なずける」にはほど遠い。むしろ「北朝鮮に非核化を守らせるために、6カ国協議の早期再開を実現すべし」といった従来通りの主張を繰り返している。
昨年12月、北朝鮮が関係国の制止を聞かずにミサイル発射を強行したことで、中国はこれまでとは違う態度に出てはいた。国連安全保障理事会の制裁決議(2087号)で、初めて賛成票を投じたのだ。ただ習近平総書記のそうした反中国のベクトルの動きが強まっても、北朝鮮の核開発の勢いを削ぐまでには至っていない。
なぜこうまでして北朝鮮に思い通りの核開発を推進させてしまっているのか。
まず国連安保理が国際関係の実質的な安定に寄与できるだけの効力を持っていないことが挙げられる。