かつて一世を風靡した仮想世界サービス「セカンドライフ」の運営会社、米リンデンラボが6月9日、従業員の30%を削減するリストラを行うと発表した。技術部門と製品部門を1つに統合し、ソフトウエア開発チームは北米に集約する。顧客サポートも再編するという。
英国とシンガポールのオフィスは閉鎖へ
人員削減はすべての職位を対象に行う。リンデンラボは過去3年にわたり雇用を増やしてきたが、今後はコストを削減し、新規のサービスや事業に投資していくとしている。
テクノロジー系の情報サイト、テッククランチによると、同社は英国とシンガポールの事務所を閉鎖し、米国シアトルのオフィスの人員を半減する。カリフォルニア州マウンテンビューとサンフランシスコの事務所でも人員を削減し、企業向けのカスタマイズ版仮想世界の開発部門は廃止する。
こうしてコストを削減したうえで、同社は2つの分野に注力するという。1つはウェブブラウザーやモバイルで利用できる仮想世界。もう1つはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。
今のセカンドライフは専用ソフトをインターネットからダウンロードして利用するサービスだが、今後は潜在ユーザーとの垣根を低くし、より多くの人に使ってもらいたいとしている。
マニア中心の仮想世界に
セカンドライフのサービスが始まったのは2003年。開始から3年後にユーザー数が100万を突破し、そのわずか2カ月後に200万人に達した。間もなくして日本語のサービスも始まり、2007年には1000万人を超えたと騒がれた。
大手企業が続々と参加し始め、プロモーションやマーケティング、顧客サービス、イベント、会議など様々な用途で利用した。企業のセカンドライフ進出を手助けするといった周辺ビジネスも登場し、活況を呈した。