エコノミスト・カンファレンス『ジャパン・サミット2012』リポート、第4回目の今日は「エネルギーの未来」をお届けする。 

左からトムセン氏、田坂氏、ビバッシュ氏、司会のマクニール氏、八田氏(写真:前田せいめい、以下同)

 パネリストはデンマーク王国大使館公使参事官で大使館副代表のイェスパー・トムセン氏、学習院大学特別客員教授の八田達夫氏、多摩大学大学院教授で元内閣官房参与の田坂広志氏、レイサム・アンド・ワトキンス法律事務所所長のジョセフ・ビバッシュ氏。司会はエコノミスト誌コントリビューターのデイヴィッド・マクニール氏。

マクニール 日本はこれから先、原発に関してだけでなく、エネルギー全体について非常に厳しい決断をしなければならないという状況にあります。

石油危機を乗り越え、グリーンテクノロジーをデンマークの戦略輸出品に

トムセン デンマークはもともとは日本と同様、石油は100%輸入に頼っていました。このため、1970年代の石油危機の際には経済的な苦境に陥りました。しかし、そこから徹底した省エネに取り組み、発電・配電の効率を世界トップレベルまで高め、石油・ガス開発を進めることで、エネルギー自給を実現しました。 

イェスパー・トムセン氏(デンマーク王国在日大使館 公使参事官 大使館副代表)

 1990年代以降は化石燃料の枯渇に備え、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギー開発に力を入れ、2050年までに再生可能資源のみでエネルギーを賄う目標を設定しています。

 再生可能エネルギーは環境に優しく、気候変動にもメリットがありますが、それはあくまでもボーナス的なことです。ビジネス的にメリットがあるから、政策として推進することができるのです。デンマークの企業は世界最高レベルの省エネ技術を獲得し、今やグリーンテクノロジーは戦略輸出品として強みを持っているのです。

 日本人は「資源がない。だから輸入しなければならない」と言いますが、2011年に環境省が実施した調査では、原子炉40基分に相当する風力発電能力があるとの結果が出ました。花粉症の原因となる杉はバイオマス燃料としての可能性があり、14ギガワット相当の地熱、太陽光、ゴミ焼却のエネルギー利用なども考えられます。