経営力がまぶしい日本の市町村50選(5)
経営力がまぶしい日本の市町村50選の第5回として紹介する宮崎県綾町。昨日の前篇に引き続き、前田穰町長のインタビューをお送りする。
いまや綾町だけでなく九州の目玉観光地にもなっている大吊り橋。昨年、3億3000万円の予算をかけて架け直された。足場の一部が網状になっていてはるか下の渓谷を見渡せるためスリル万点。
老朽化したこの吊り橋を架け直すことに反対はほとんどなかったが、前町長の郷田實さんが日本一の吊り橋を造ると言って計画したときには、反対ばかりで賛同者はまるでいない状況だった。橋を架ける向こう側にもこちら側にも民家など全くないところだったからだ。
しかし、その橋がいまや九州を代表する観光地の1つになっている。まさにリーダーの慧眼である。私たちは往々にして目先のことばかりに目を奪われるが、それでは地域づくり、国づくりはできない。これぞと思うリーダーに任せたら、つべこべ反対せず任せることも重要である。
綾町ブランドでファンづくり。地元出身者以外のふるさと納税リピーターも
川嶋 前田町長は歴代の町長の業績を受け継ぎながら、スポーツ施設の充実による滞在型観光振興など新しい挑戦をされています。ほかにはどんな取り組みがありますか。
前田 私の役割は、綾町というブランドをつくりあげることだと考えています。前々町長は、治山治水に取り組み災害に強いまちづくりをされた。前町長は照葉樹林を守り、地域資源を産業に生かす基盤づくりをされた。
それぞれのリーダーがその時代にマッチした取り組みをしっかりやってきたからこそ現在があるわけです。ですから、私はそれを継承しながら今の時代のニーズに合った取り組みをしなければいけないと思っています。
一例としては、綾町のファンづくりです。ウチはふるさと納税がすごいんですよ。年間700~800人に納税していただいている。全国的に見てもトップクラスだと思います。