6月4日に発表された米5月の雇用統計で、非農業部門雇用者数(前月差、以下同じ)は+43万1000人という、表面的には大きな数字になった(2000年3月以来の高水準)。増加は5カ月連続である。しかし、今回の+43万1000人という数字は、連邦政府による国勢調査要員の一時雇用である+41万1000人を含んでいる。政府部門全体の5月の雇用者数は+39万人なので、民間部門だけの雇用者数は+4万1000人。前回4月分(+21万8000人)の約5分の1の水準へと急減速した形である。

 こうした民間部門の雇用創出力の弱さは、筆者が作成している雇用統計関連指標「星取表」で、5月の一致系列が久々の負け越しを記録したことと整合的である。米国経済は大きなバブルが崩壊した後の「構造不況」状態にあるため、そう簡単に民間部門主導の力強い雇用創出は実現してこない。

 市場は事前に+50万人を上回るような強い数字を見込んでいたので、失望感から米国の主要株価指数は急落し、米国債が買い進まれた。ニューヨークダウ工業株30種平均の終値は1万ドルを大きく割り込み、9931.97ドルになった。前日比▲323.31ドルの急落である。米10年物国債利回りは一時3.18%まで低下した。