鳩山由紀夫首相が退陣し、菅直人副総理・財務相が後継首相に就任した。筆者は、昨年11月から12月にかけて「民主党よ、お前は何者か」「続・民主党よ、お前は何者か」で、米軍普天間飛行場移設問題などでの鳩山政権の迷走ぶりを厳しく批判した。
現実路線に転換しつつある民主党
そのうえで、「それを止められるとしたら、日本国民が一刻も早く覚醒して、鳩山政権に明確なノーを突きつけるしかない」と記した。
それは「支持率が急落すれば、鳩山政権が現実的な政策に転換する可能性もなくはない。あるいは、民主党内で首相交代を真剣に考える勢力が出てくるかもしれない。
首相交代となれば、後継政権は鳩山政権に対する反省に立脚して誕生する可能性が高く、この迷走状態から抜け出すチャンスが出てくるかもしれない」と考えたからである。
鳩山政権も、岡田克也外相や北沢俊美防衛相らが主導して、「現実的な政策に転換」しようとした。普天間問題は迷走の末、結局は自民党政権が2006年に作成した現行計画に限りなく近い案に戻った。
しかし、いかんせん鳩山首相が、言動の軽さなど致命的なミスを重ね過ぎた。その結果、筆者が半年前に望んだもう1つの変化ーー「首相交代」となった。
菅政権、不安半分、期待半分
半年前に書いたように、菅政権は「鳩山政権に対する反省に立脚して誕生」した形に見える。しかし、大事なのは、何を反省し、何を改めるかである。速断は禁物だが、筆者の現時点の偽らざる感想は「不安半分、期待半分」である。
その理由を記す前に、まず、鳩山政権の何が問題だったのか、筆者なりの整理をしておこう。
政権がわずか8カ月半で失速した最大の責任が、鳩山首相にあるのは言うまでもない。特にひどかったのが、最後に引導を渡されることになった普天間問題での発言の軽さである。
「できれば国外、最低でも県外移転」「埋め立ては自然の冒涜」「現行計画と同等か、それ以上の腹案がすでにある」「5月末までに必ず成果を上げる」「米国も、地元も、連立与党も、よし、それでいこう、という方向に必ずまとめる」・・・