「空想的平和主義が左傾化に拍車かける~民主党よお前は何者か(1)」
「議員立法を一声で葬った小沢一郎~民主党よお前は何者か(2)」
「日本を取るか、マニフェストを取るか 君主の道を選ぶ時~民主党よお前は何者か(3)」「続・民主党よ、お前は何者か 日米同盟破壊から日本破壊へ」
鳩山民主党政権は発足からまだ2カ月だというのに、先行きは容易ならざると予感させる混乱ぶりを見せつけてくれている。鳩山政権が独り失速するだけならよいが、この混乱は日本の将来を大きく誤る可能性を秘めている。
鳩山政権に内在する危うさを、「対等な日米関係」「政治主導」「マニフェスト」の3つのキーワードから解き明かしてみたい。今日から3日連続でお伝えする。
「対等な日米関係」発言の正体は何か
今、日米間で最大の懸案となっているのは、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題であることは言うまでもあるまい。
先に来日した米国のゲーツ国防長官は、自民党政権下で合意した名護市の辺野古沖に移設する現行計画で早期に決着を図るよう、鳩山由紀夫首相や岡田克也外相に迫った。その際、ゲーツ長官はこう念を押した。
「代替施設なしではグアムへの移転もない。グアム移転なしでは沖縄の兵員縮小と土地返還もない」
普天間飛行場の辺野古沖への移設と、海兵隊員8000人のグアム移転はセットで実施することが条約で決まっている。現行計画が流れてしまえば、それは事実上、普天間基地の固定化を意味し、沖縄県民の反基地感情に火がつく可能性が高い。
スパイラル的に基地問題がおかしくなれば、日米関係はいっそう混乱を来す。日米の外交・安保関係者が、そろって現行計画に沿った早期決着を訴えているのも、一歩誤れば日米同盟に深刻な影響を与えると憂慮しているからだ。
先延ばしは米議会にグアム移転費用削減の口実を与えるだけ
普天間問題をできるだけ早期に決着させる必要があるのは、 (1)海兵隊は沖縄が住みやすく、あわよくばグアムに行きたくないと思っている、(2)米国議会はイラク戦争、アフガン戦争で戦費が膨れ上がり、国防予算をどこで削るかに頭を痛めている――という状況下にあるためだ。
鳩山政権が結論を先延ばしすれば、それは米国議会に「日本は不熱心だ。グアム移転の予算を削ってしまえ」と言わせる格好の口実を与えることになる。 失業率が10%を超えるなど、内政がうまくいっていないオバマ政権にとって、そんな事態は避けたい。
だからこそ、ゲーツ長官は大統領の来日を前に、現行計画がグアム移転とセットであることと早期決着の必要性を念押しに来たのである。