「空想的平和主義が左傾化に拍車かける~民主党よお前は何者か(1)」
「議員立法を一声で葬った小沢一郎~民主党よお前は何者か(2)」
「日本を取るか、マニフェストを取るか 君主の道を選ぶ時~民主党よお前は何者か(3)」
「続・民主党よ、お前は何者か 日米同盟破壊から日本破壊へ」
鳩山由紀夫政権につきまとう危うさを昨日に引き続き3つのキーワードで検証したい。2つ目のキーワードは「政治主導」である。
政治主導を謳う鳩山政権と議員立法
自民党政権は官僚主導の政治だった。責任回避であるとか、縦割りの弊害であるとか、官僚の持つ悪い性癖は、自民党政権では改めることができない。だから政権交代して、民主党は政治主導の政治を築くのだ――。
民主党の政治家たちの言動には、そんな使命感とも言える気負いが満ち満ちている。
日本の官僚集団は非常に優秀だが、大きな時代の変革期に機動的に対応することが苦手だったりするのは確かだ。
その是正に政治家が能動的に対処することは歓迎すべきことだ。そうした政治主導のモデルケースとして、1990年代になって活性化した議員立法がある。
いくつか実例を紹介しよう。2000年に制定された児童虐待防止法は、自民、公明、民主、社民4党の政治家が作った議員立法だ。
旧厚生省官僚の反発に政治家が燃えた
厚生省(当時)は最初、この動きに激しく抵抗した。「現行法令の枠内で対応できる。むしろ予算をつけて下さい」というのが厚生官僚の主張だった。
ここで言う「現行法令」は、児童福祉法のことだ。
しかし、それは戦前の児童虐待防止法を引き継いだ条文で、「障害のある子を見せ物にする」ことや、「物ごいや大道芸をさせる」ことを禁じる、と書いてあるに過ぎない。
親が子どもを虐待してしまう現代社会の病理に対処するには、あまりに時代錯誤な条文を持ち出して、「われわれに任せろ」と厚生官僚たちは言ったのである。