日本では衆議院が解散、総選挙へと向かい始めたところだが、米国では一足先にオバマ大統領が再選を果たし、政権2期目に突入した。
オバマ大統領といえば、2008年の大統領選で巧みなソーシャルメディア活用を展開したことが語りぐさとなっているが、今回はそれが一層強化された格好だ。大統領選再出馬の最初の活動としてツイッターに再出馬宣言ビデオへのリンクを投稿し、その後もソーシャルメディア活用の手を緩めることなく大統領選を制した。
こうした状況は米国初の「ソーシャル選挙」などと称され、「ソーシャル化する選挙」の本格化を多数のメディアが報じた。
数字が示すアメリカ大統領選の「ソーシャル化」
では本当に、ソーシャルメディアはこの大統領選を左右したと言えるのだろうか。確かに、ソーシャルメディア上で生まれた今回の大統領選にまつわる「数字的成果」自体は華々しい。
2012年8月27~30日に開催された共和党全国大会において、それに関するツイッターの投稿数は400万件超、ツイッターのフォロワー増加数は5万3000人超、フェイスブックのファン増加数は43万7000人超を記録した。
一方、同年9月4~6日に開催された民主党全国大会においては、ツイッターの投稿数900万件超、ツイッターのフォロワー増加数は11万2000人超、フェイスブックのファン増加数は18万3000人超を記録した。
選挙の前月に当たる10月に開催された全4回の大統領候補テレビ討論会(副大統領候補1回分を含む)においては、ライブ中継されたYouTubeの視聴者数は全世界で2400万人に達し、ツイッターの総投稿数も2700万件を超えた。
このような“ソーシャルメディア上で可視化される選挙への関心”が投票日まで低下することなく、それを候補者も重要視していたことは、オバマ大統領が投票締め切りまであと数時間というところでリンク共有サイトの「Reddit」上で支持票集めの呼びかけを自ら行ったことにも象徴される。
大統領選挙投票日の選挙関連のツイッター上の投稿はおよそ3100万件にまで達し、選挙に言及したフェイスブックの投稿とコメントは11月6日に米国内で7170万件、全世界で8870万件に及んだ。
また、選挙に関する投稿とコメントを測定し、1から10までの段階でランク付けするフェイスブックの機能「Talk Meter」では、2008年の大統領選のバズが8.95だったのに対し、2012年の大統領選では9.27に上昇し過去最高を記録した。
ソーシャルメディア上の選挙熱はオバマ大統領が再選を果たした後も冷めるどころか、逆に勝利直後に大統領のフェイスブックページに投稿された大統領と夫人が抱擁する写真は310万超の「Like(いいね!)」を獲得した。これはフェイスブック至上最多記録であり、その後も伸び続けている。
これと同じ写真はオバマ大統領のツイッターアカウントにも投稿され、63万回以上のリツイートを生み、ツイッターのリツイート数最多記録を更新した。