南国新聞 2012年10月25日号
ナズリ首相府相(法律・国会担当)は10月20日、一定量の麻薬を所持した者に自動的に死刑を科すと規定している危険薬物不正取引取締法(Dangerous Drugs Act)第39B条を改正し、死刑を廃止して30年以上の懲役刑に改めることを首相府が検討中だと語った。
死刑制度廃止を検討している理由について、ナズリ首相府相は、以下のように説明した。「中国やベネゼエラ、ペルーなど海外で麻薬犯罪に関わり死刑判決を言い渡されたマレーシア人は目下、250人近くいる。その多くが麻薬シンジケートにだまされ、あるいは強要されて麻薬の運び屋をした者たちだ。
これらの国々にマレーシア人麻薬死刑囚の刑執行をやめるよう要求するには、マレーシアが麻薬所持への死刑適用を先に廃止すべきだ。そうしないと説得力がない」
ペラ州パダン・ペンガスでおこなわれたイベントに出席した後の記者会見でナズリ首相府相が語ったところによると、まずナジブ首相に同意を求め、それから具体的な改正案づくりに入る。現在、マレーシアで麻薬所持でつかまり刑が確定した死刑囚は約900人。
このほか危険薬物不正取引取締法(Dangerous Drugs Act)第39B条の改正で死刑が廃止されると、麻薬所持で裁判にかけられている日本人の元看護師、竹内真理子被告(37)などが死刑を免れる可能性が出てくる。
同被告は2009年10月、ドバイからクアラルンプール国際空港に到着した際に、手荷物の中に覚せい剤約3.5キロを隠し持っているのを発見された。昨年10月25日、竹内被告はシャーアラム高裁で死刑判決が言い渡された。あとは上訴判決が確定するまで、上訴裁と最高裁で争われる。
(10月21日星洲日報)
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