経営力がまぶしい日本の市町村50選(2)
北海道のニセコと言えば、今ではオーストラリア人が多く住み着いて世界の一大スキーリゾートというイメージが強くなった。確かにニセコでのスキーは楽しい。
何と言っても雪質が格段に良い。オーストラリア人が世界屈指と太鼓判を押すのはよく分かる。私は大学時代にスキーサークルに属していたこともあり、長野県と新潟県を中心に様々なスキー場へ行ったことがある。しかし、30年以上前の貧乏学生にとって北海道上陸は叶わなかった。
就職して初めて北海道へ、そしてニセコでスキーをしたときの感動はいまでも忘れることができない。こんなに素晴らしい粉雪で、スキー板で雪を押すとキュッキュと気持ちいい音がして、軽い雪はそれだけで舞い上がる。
目の前には美しい羊蹄山がそびえている。ここに向かって滑り降りていく雄大さは筆舌に尽くしがたい。スキーヤーでなければ味わえないものだろう。
そして、一番上から下まで滑る途中に1カ所、だだっ広い緩斜面があるのもいい。晴れた日にきらきら光るダイヤモンドダストを見ながら白樺林の中で一休みすれば、北海道の大自然を満喫でき、スキーをして本当に良かったなと思える瞬間だ。
私は、米国勤務になったとき西海岸のレークタホでスキーをしたことがある。ここの標高3000メートルの雪は米国屈指だが、それでも雪質は標高が1000メートルちょっとのニセコの方が上ではないかと思う。
赤茶けたネバダ砂漠の中にぽつんと広がるリノの町に向かって滑るのも雄大ではあるのだが、何とも奇異な風景で、ニセコの風景には絶対に敵わない。
日本人はかつて貧乏だったせいかリゾート開発が苦手なようで、そんなに素晴らしいスキーリゾートをオーストラリア人が育ててくれたことに日本人としても感謝したい。
さて、このように国際的なスキー場として有名になったニセコだが、全く別の側面から日本中の注目を集めている。町の経営革新である。
現衆院議員の逢坂誠二さんがニセコ町長のときに始めた改革が大きく実を結び、現在の片山健也町長がさらに活力ある町づくりに力を入れている。
ニセコ町の改革については以前のこの記事でも触れたので、今回はいま現在進行形でニセコ町は何をしようとしているのか、を片山町長のお話としてお伝えしたい。
すでにニセコ町の改革はDNA化して町の職員一人ひとりに染み付いていると言ってもいいだろう。市の職員の気持ちは役人のそれから経営者のそれに変化しているのかもしれない。