北海道の経済と言うと厳しい印象が強い。1980年代のバブル経済期に無謀なリゾート開発などに走った結果、その反動として大きなダメージを受けたのは事実である。

 バブル経済に踊ったカブトデコムに対する融資が焦げ付くなどの理由で北海道拓殖銀行が破綻したのは記憶に新しい。また夕張市の財政破綻も強烈な印象を残した。

「日本のお荷物」から脱した北海道

 しかし、北海道は非常に資源の豊富なところである。豊かな海産物と農産物に恵まれ、北海道はいまや日本一のワイン産地でもある。国の補助に頼らず自立した農家も急速に増えている。

 一方で温泉を含めた観光資源も豊富である。スキー場やゴルフ場は、どこかせせこましい本土とは違って雄大な自然を訪れた客に満喫させてくれる。冬には遠くオーストラリアからスキー客が集まり、夏のゴルフ場は首都圏などからのゴルファーでどこもにぎわっている。

 かつて日本経済のお荷物とさえ言われた北海道は、輝きを取り戻しつつあるように見える。夕張市のように過去の負債に苛まれ続けているところもあるが、無謀なハコモノ投資とは縁を切り、お上に頼らず自主独立路線で地方自治を行っているところは結果が確実に出てきている。

 北海道には日本の未来が透けて見えると言っても言いすぎではないかもしれない。

 中央の政治が大切なことは間違いないが、強烈な意志と力、リーダーシップを持った政治家が残念ながら一人もいない状況では、日本の改革は難しいだろう。

 一方で日本には現場の底力がある。地方からの改革はできるし、実際に進んでいる。私たちはもっと地方に目を向けるべきではないだろうか。ということで、JBpressでは地方財政の第一人者である大和田一紘さんに連載をお願いした。

 まずは北海道の例からお伝えする。