フェイスブックの収益化が予想よりも遅いことに対する批判は、いわば最近のトレンドだ。相当に高いPER(株価収益率)で株式公開をした企業の宿命といえばそれまでだが、その未来まで疑念で覆い尽くすような論調も目立ってきている。
個人データの活用拡大を打ち出したフェイスブックだが・・・
10月2日(米国時間)、フェイスブック取締役のマーク・アンドリーセンはそれを間違った見方であると切り返した。
IAB MIXX 広告カンファレンスにおけるインタビューで、収益化への心配をする前にユーザー体験やサービスを改善することに集中していることを主張した。つまり、フェイスブックが従来重んじてきたユーザー第一主義のスタンスを再度アピールした格好だ。
その一方、これとほぼ同タイミングでフェイスブックの収益化に絡むニュースが相次いだ。まず1つは、フェイスブックが会員の個人データの活用拡大を試験的に開始している(WSJ日本版)というものだ。
これは、小売企業が持つメールアドレスや電話番号などの外部データとフェイスブックのユーザープロファイルの情報を照合して特定のユーザーにターゲット広告を配信したり、データ分析会社のデータロジックスと提携し、小売店から収集した顧客が購入する商品に関する情報とフェイスブックユーザーのアドレスなどを照合、どの程度の消費者がフェイスブック広告を見ていたのかについて推定するような試みだ。
当初の段階ではまずまずの成果を挙げているということだが、一方で、この動きがプライバシー保護の観点で問題視されている。フェイスブックは個人のユーザーデータを小売企業に販売したり、直接閲覧させたりはしていないことを強調しているが、プライバシー保護団体による厳しいチェックを受けている。
米電子プライバシー情報センター(Electronic Privacy Information Center: EPIC)のプレジデントであるマーク・ロッテンバーグは米連邦取引委員会(FTC)に対して、フェイスブックとデータロジックスの提携に関する調査と、プライバシー訴訟の和解のためにフェイスブックとFTCが合意した条件に準拠しているか否かの判断を要請している。