例えば今、医師であると称しながら、実際には医学の知識や治療の能力のない人がいたとしたら・・・人はその人物を「贋医者」と呼ぶかもしれません。
日本では、医師は国家試験があり、適切な学校で所定のカリキュラムを修めたうえでこの試験を受験、合格した人にのみ、医師の免許が与えられ、医療行為に従事する最初の独立した資格が与えられます。つまり、研修医としての修業がそこからスタートする。
医師というのは人の命を預かる大事な仕事です。だから、というわけでもないでしょうけれど、国家試験もきちんと行われ、医大の側も国試の合格率が低かったりすると少子高齢化のおりから、志願者が減ったりしかねません。きちんとした医学教育を心がけているのだと思います。
こうした医学部の例を念頭に置くとき、日本の学校が2つのタイプに分けられることが、おのずと分かってくるように思うのです。
1つは、医大・医学部のように「教育をする」大学、そしてもう1つは「それ以外」で、この「それ以外」について考えてみたいと思うのです。
内定学生留年の可否
いま「それ以外」という表現をあえて取りましたが、やや乱暴ながら、これを「教育をしない大学」もっと厳密に言えば「専門教育をしない大学」と、ここでは呼んでみたいと思います。
人によっては、「大学は教育機関に決まってるじゃないか。伊東という奴は、自分自身大学で禄を食みながら、教育機関でない大学、みたいな物言いをするとは、けしからんことだ!」。なんて、お怒りになるかもしれません。
が、そういう方にこそ、以下の議論を真剣に考えていただきたいと思うのです。
例えばいま「4年生で就職が決まっている大学生」がいるとしましょう。この彼、あるいは彼女が、何かの勘違いで、あるいは遊びすぎてしまって、でもいい、何らかの理由によって、卒業に必要な単位を落としているとしましょう。
大学としてはとても重要な科目で、これを落としている学生を進級あるいは卒業させるということはできない、とします。
みなさん、これをどう考えられるでしょうか?