フェイスブックは8月1日、9億5500万人の利用者のうち、8.7%にあたる8309万人が重複もしくは虚偽アカウントにあたるユーザーであった(6月末時点)ことを米証券取引委員会(SEC)への報告書を通じて明らかにし、メディア上でも物議を醸した。
株価の落ち込みと虚偽アカウント問題に直面するフェイスブック
これらのアカウントは具体的に以下の3つに分類されるという。
(1)重複アカウント(約4580万件、アクティブユーザーの4.8%に相当)
(2)分類が不適切なアカウント(約2290万件、アクティブユーザーの2.4%に相当)
(3)望ましくないアカウント(約1430万件、アクティブユーザーの1.5%に相当)
まず(1)だが、フェイスブックでは利用規約上、1人1アカウントのルールになっているため、重複アカウントは規約違反にあたる。そもそも1人でいくつものアカウントを持っているとすれば、フェイスブックにとって重要な指標である利用者数の適正が問われることになる。
(2)については、企業やグループ、ペットなどのアカウントが該当する。企業などの場合は、個人用のアカウントではなくフェイスブックページを開設することになっているため、これもNGだ。
(3)は特に問題だが、スパムメール送信などを目的として作られたアカウントだとフェイスブックは見ている。
フェイスブックは2012年5月18日(現地時間)の株式公開時に初値で42ドルをつけ、初値ベースの時価総額で約1150億ドル(約9兆1000億円)というとんでもない企業価値を世に示した。
しかしその後、モバイル対応の遅れや収益成長性への疑念、株式公開後初めてとなる四半期決算が1億5700万ドル(約123億円)の赤字であったことも重なり、直近の株価は20ドル台の前半まで落ち込んでいる。
フェイスブックの根源的価値とは何か
とはいえ、生まれてからまだ10年にも満たないフェイスブックが、依然として数兆円レベルの高企業価値であること自体は紛れもない事実だ。
既存の広告収益モデル、今後のマネタイズ力については散々ネガティブな見方をされているが、それでもなお現状それだけの企業価値を保てているのは、機能やメディア価値以前のもっと根源的な価値と、それに紐づき得る収益の潜在性だと考えている。
その根源的価値とは、質の良いIDを大量に抱えていることだ(今回問題になった重複・虚偽アカウントは論外、その他がフェイスブックの指すところの健全なアカウントであることを前提として)。
ここで言う質の良いIDとは、むろん実名かつ実体的なプロフィールをベースとしたIDである。すなわち、IDにリアリティが担保されていることだ。