北米報知 2012年6月27日27号

 「Happy Pride!」――。LGBT*1の権利向上を訴える180を超える団体と沿道に集まった観衆は24日、彼らのアイデンティティーを表すスローガンを声高に叫び、晴天のシアトル・ダウンタウンを約3時間半にわたって占拠した。

24日のパレードで同性婚合法化への支持をアピールするグレゴア州知事

 思い思いの衣装を身にまといながら行進する参加者の表情は一様に明るく、喜びに満ちている。

 市内キャピトルヒルに住む男性カップルは、「自らが同性愛者であることを誇りに思っている」と話し、「同性愛に対する偏見はいまだ根強いが、それを変えるためにシアトルに住む私たちがリーダーシップを見せることが大事だ」と力強く語った。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の調査によると、シアトルの全人口に占める同性愛者の割合は12・9パーセントにのぼる。これはLGBT運動の発祥の地であるサンフランシスコの15・4パーセントに次ぐ高さだ。

 パレードにはワシントン州を拠点とする多くの企業も参加した。マイクロソフト社は「平等な結婚はビジネスに良い影響を与える」と書かれた横断幕を掲げながら行進。沿道に集まった観衆から大きな支持を獲得していた。

決戦は11月 同性婚合法化法案の行方

 州議会は今期限りで退任するクリス・グレゴア知事の「最後の大仕事」として同性婚合法化を推進。2月の州議会で法案化にこぎつけた。同知事は今回のパレードにも参加、LGBTの権利促進を市民に強く訴えた。

 一方でカトリック教会を中心とした反対派の活動も激化している。

 反対派団体は約24万票の反対署名を議会に提出、今月7日に予定されていた法案施行を阻止した。リベラルな気風の州西部に比べ、保守傾向の強い州東部では反対派が目立ち、意見の食い違いが生じている。最終的な法案の是非は11月に行われる住民投票で決せられる。

*1:LGBT=同性愛、両性愛、性転換者を表す用語