社会に対して大いなる影響を及ぼす政治というものに、人々が強い関心を持つことは必然だという観点をよそに、政治参加の象徴とも言える国政選挙などにおける投票率の低下や若者の政治離れなどが長らく問題視されてきた。
例えば衆議院選挙の投票率は1990年代から大きく低下し、2000年以降も60%を切る年があるなど低水準で推移してきた。
2005年の総選挙においては、小泉純一郎首相人気の影響もあり投票率の上昇を見せたが、それでも70%を超える投票率が大半だった1970年代~80年代と対比すれば、全体としては低水準傾向である。
この流れの中で、政治の領域においても「ソーシャル化」がドラスティックな変化を生み始めている。
ソーシャル化が政治を「日常事」にし始めた
選挙という点では、2008年の米国大統領選における「ソーシャル化」のインパクトが大きかったことは周知の通りだ。候補者がSNSやユーチューブなどのソーシャルメディアを活用し、有権者と候補者の新たな接点を作り、その有用性を具体化した。
その最も巧みな使い手が、当選したバラク・オバマ氏であった。2010年の中間選挙ではソーシャルメディア活用の裾野が広がり、2012年の大統領選においてはその質・量のさらなる進化が窺える。
韓国でも今年1月、ソーシャルメディアなどを使った選挙運動が解禁され、同じく1月の台湾総統選における中国市民のソーシャルメディアの活用ぶりなどを見るにつけ、選挙とソーシャルメディアの強い相関はますます世界的なうねりとなっていくことを予見させる。
一方、ここ日本の選挙運動の現状はと言えば、公職選挙法の壁の前で、ソーシャルメディアを含むインターネット利用が制限されたままだ。
2010年前半には国会での議論が進み、インターネット選挙に即した部分的な公職選挙法改正について民主党と自民党間の合意ができたものの、7月の参議院選挙前の法改定には至らなかった。
しかし、インターネット選挙運動の今国会での解禁を目指すキャンペーンサイト「One Voice Campaign」が本年5月上旬にオープンし、いまや多くの政治家がツイッターやフェイスブックにアカウントを持ちアクティブに活用している事実など、インターネット、ソーシャルメディアの選挙運動解禁も時間の問題だと感じさせる要素は日に日に増えている。