ソーシャルゲーム――。様々な「ソーシャル化する社会」現象の中でも、ビジネスの領域でいま最も賑わいを見せているのが「ゲームのソーシャル化」かもしれない。
急速に社会的関心と存在感が高まったソーシャルゲーム
ソーシャルゲームを代表するプレイヤーであるグリー(GREE)やモバゲー(mobage)のCMをテレビで見かけない日はほとんどない。
最初にそれを見かけた時は、ソーシャルゲームのようなものがテレビCMを通じて宣伝されるようになったことに驚きを覚えた人は多いはずだ。
ところがそれからあっという間に、携帯画面上の簡易なゲームが著名なタレントを用いて大量に宣伝される様は日常的な光景となった。
いまやテレビCMの収益を支える代表格は、それらソーシャルゲーム大手の企業だ。それだけではなく、街に出れば交通広告、屋外広告でも存在感を示している。
2012年3月9日付の三菱UFJモルガン・スタンレー証券「ソーシャルゲームの正体を探る(V)」によると、ソーシャルゲームは2011年の市場規模推定で2658億円、2012年は4643億円、2013年になると5766億円にまで成長するという予測がある。
さらに、ソーシャルゲームにPCゲームなどを加えた家庭用ゲーム機以外の市場規模は3兆円に達し、2011年の世界の家庭用ゲーム機市場規模の約2兆1200億円を既に上回っているとも言われている(参照:MANTANWEB「世界ゲーム市場 : PC・ソーシャルが3兆円規模 家庭用ゲーム機上回る」)。
家庭用ゲーム機以外のゲーム市場を牽引しているのは、ほかならぬソーシャルゲームだ。
当初、大方の大手ゲームメーカーは、ソーシャルゲームはゲームとしては簡素でレベルが低いという見方をし、開発意欲を示していなかったことを思い出す。
しかし、ソーシャルゲームが家庭用ゲーム機の市場を成長性で凌駕し始めたいま、そこを素通りできなくなった。大手ゲームメーカーも、ついにソーシャルゲームの市場参入へ力を入れ始めた。
2012年5月に入り、そこに冷や水をさすようなコンプガチャ問題が起きた。コンプガチャは、ガチャ(カプセルトイ)のようにランダムにアイテムを揃えることで希少なアイテムを入手できる仕組みで、このガチャを回す際に課金することがソーシャルゲームの収益を得る1つの方法になっていた。
これが景品表示法への抵触や、未成年が課金により多額のお金を使い込むトラブルなどの元凶となっているということで、一気に問題視されるようになった。コンプガチャ問題噴出以降、消費者庁やソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会などの関係省庁団体で、その健全化と環境整備に努めている最中だ。
市場の急成長とそれが抱える問題、そこには清濁あったにせよ、ソーシャルゲームは世の中的に大きな存在感を占めるようになったことだけは間違いない。