北米報知 2012年6月6日24号
銃犯罪が多発するシアトル地域で5月30日、ユニバーシティ・ディストリクト周辺とダウンタウン周辺で容疑者含む6人が死亡、1人が重傷を負う連続銃撃事件が発生した。一連の事態を受け、シアトル市では銃規制法案の厳重化へ向けた気運が高まりつつある。
マイク・マギン市長は同日午後に開かれた記者会見で、ワシントン州内での拳銃の入手が比較的容易なことについて言及。公安委員会とともに銃規制の厳重化を進める方針を示した。
翌31日には市議会議員らが銃規制法案の見直しについて検討した。
現在、ワ州では18歳以上の市民、もしくは永住権保有者に銃の購入、所有が認められている。
また、持ち運びの容易な拳銃に関しては、21歳以上で重罪歴や精神疾患がないと判断された者に限り携帯の許可を取得することができる。
今回犯行に及んだイアン・リー・スタウィッキー容疑者は、ドメスティック・バイオレンスなどによる通報歴があったが、10年に州から拳銃の携帯許可を取得していた。
家庭内における銃管理の甘さといった点も問題視されている。
連邦法であるブレイディ法では、未成年による銃の所持、使用を禁止しているが、今年2月にはブレマートン市内の小学校で9歳の男児が拳銃を持ち込み、教室内で暴発させ同級生に重症を負わせた事件が起きた。
銃規制に関して連邦政府と州政府の間に認識の違いがあることも否めない。連邦最高裁判所は10年、シカゴ市が28年間にわたって施行してきた、銃の所持を事実上禁止する条例に対し、個人の武器所有権を認める米国憲法に従い違憲判決を下した。
同判決により、自衛のための銃保有権が保障された形となった。