ギリシャがユーロ通貨圏から離脱するかどうかが大きな話題になっている。ギリシャが離脱すれば、スペインやイタリアの離脱にもつながりかねない。そうなればユーロは崩壊だ。ヨーロッパ経済は大打撃を受けよう。

 その影響はヨーロッパだけに留まらない。世界に波及する。米国はリーマン・ショックからなかなか立ち直れないが、そこにヨーロッパ発の不況が襲いかかる。既に、ダウ平均株価は大きく下げている。

 好景気に沸いていたにもかかわらず、リーマン・ショックの時に中国は景気対策として4兆元(約52兆円)もの財政出動を行った。それは、それまでも高騰していた不動産価格をさらに押し上げてしまった。中国は不動産バブルの真最中だ。そのために、今回は財政による景気の下支えは難しいだろう。

 日本はバブル崩壊後、景気が良くなったためしがない。「失われた10年」と言っていたがいつしか20年になり、さらに30年になりそうだ。

世界で極右勢力が台頭、不吉な予感

 世界のどこを見ても不景気である。既に不景気を通り越しているのかもしれない。我々は大恐慌の入り口に立っている可能性がある。

 大恐慌と言ってすぐに思いつくのは1930年代だ。1929年に米国のウォールストリートで始まった不況は、瞬く間に世界に伝搬し世界恐慌に発展した。その時代にドイツではナチスが勢力を伸ばし1933年に政権を奪取したが、それは第2次世界大戦の導火線になった。

 現在、我々は1930年代と同じような時代を生きているのであろうか。そう言えば先のフランスの大統領選挙でも、決選投票には進出しなかったが、極右政党の代表であるマリーヌ・ルペン氏が善戦した。また、この5月のギリシャの総選挙でも「黄金の夜明け」なる右翼政党が躍進し初めて議席を獲得した。

 大恐慌に押し進む時代、再び極右政党が政権を握り世界の政治を大きく混乱させるのであろうか。日本でも何も決められない既成政党を小気味よい言葉で批判する橋下徹氏が人気を集めている。彼を和製ヒットラーとする見方も出ている。