画期的なプロジェクトがいま、米ニューメキシコ州で進行している。
プロジェクトの内容を耳にした時には、なぜ同様のことが東日本大震災で被害を受けた太平洋沿岸都市で実現できないのかとの思いに駆られた。
端的に述べると、21世紀型の新しいハイテク都市を同州の草原に人工的に造るという計画だ。何もない場所に一から造成して都市を造る。
杉並区と中野区を合わせたほどの広さ
広さは約20平方マイル(約50平方キロ)で、東京の杉並区と中野区を合わせたほどの面積だ。
米国の中西部では広大と呼べるほどの敷地ではない。同地域の東側はテキサス州と隣接しており、砂漠と草原が地平線まで延びている。
目を見張らされるのはその都市が単なる住宅地でなく、実験的なハイテク都市として仕立て上げられるという点だ。
米国の多くの都市は都市計画の青写真を描いたうえで造られている。首都ワシントンDCやカリフォルニア州ロサンゼルスなどが典型だ。
カリフォルニア州法などは綿密な都市計画のない造成を認めていない。それは「自然の成り行き」を拒絶した、ある意味で米国らしい「人工的な風情」を漂わせる結果になっている。
これは土地が余っているから可能と一言では片づけられない。米国といえども、草原や砂漠に新しい都市を造るとなると、州政府の認可や資金の調達など様々なハードルをクリアしなくてはいけない。
この新ハイテク都市は連邦政府や州政府が税金を投入して建設するわけではない。民間企業ペガサス・グローバル・ホールディングズ社という開発建設が温めてきた大プロジェクトなのだ。