「購買行動のソーシャル化」の潮流は確かなものであると、僕は考えている。
例えばその一端を示す、ニールセンの最新の「Global Trust in Advertising Survey」による調査結果がある。
これによると、「知人からのリコメンデーションが一番信頼される情報源」となっている。調査対象は56カ国のインターネットユーザー2万8000人、2011年第3四半期であるが、注目すべきは2007年の同調査と比較して、18%も増加している点だ。
これは、ソーシャルメディアの普及が相関していると考えられるし、購買行動においてもソーシャルメディア内での知人のリコメンデーションに何らかの影響を受ける傾向が強まっていると判断できる材料の1つだ。
ただし、この潮流に即してフェイスブックなどで物販を試みても、多くの企業が思うような成果を得られていないというのが現状だ。
フェイスブックページの中にオンラインショップを開設したり、フェイスブックの中で集客活動を行ってみても、なかなか販売には結びつかない。
ソーシャルメディアの中での物販には、いままでに遭遇したことのないような壁が立ちはだかっている。しかもその壁がいったいどのような壁なのか、どことなく見極めきれない。
そしてそのような壁にぶつかる中で、「購買行動のソーシャル化」の“幻想説”が浮上する。
その“壁の正体”は何なのか。
ここで、その“壁の正体”として考えられるものを3つほど挙げてみる。
(1) 企業(販売主)に主導権がない
(2) そもそもが販売の軒先ではない
(3) 商品への所感を共有しにくい構造
現状多くの企業がぶつかっている“壁の正体”として共通しているのは、このあたりだと考えている。
では、それぞれの“壁の正体”を検証してみよう。