バンクーバー新報 2012年4月5日第14号
3月8日、バンクーバー市内、リステル・ホテルで、 企友会(バンクーバー日系ビジネス協会)25周年記念イベントの第1弾となる講演会・パネルディスカッション「企業と移民と一時滞在者が協働するサステナブルな日系社会」が開催され、約90人の参加者が集まった。
ゲストスピーカーは、長年にわたりカナダにおいての日本人の移民行動などの研究をしてきた国際基督教大学上級准教授の加藤恵津子氏だ。
講演後には、各世代からのパネリストを加えたディスカッションも行われ、参加者は日系コミュニティの歴史と現状、そして今後すべきことへの理解を深めることができた。
多くの日系団体の協力で実現した講演会
今回のイベントには、日本カナダ商工会議所、バンクーバービジネス懇話会、日系女性起業家協会、そして日加ヘルスケア協会が共催、BC州日加協会が協力、在バンクーバー日本国総領事館が後援というかたちで参加しており、いわば日系コミュニティの団体が総出で支援したことで実現した。
開会の挨拶の中で、企友会会長の松原雅輝氏は、これらの団体への感謝の意を示した。
外から見た、バンクーバー日系コミュニティの特徴
10年以上にわたって、カナダにおける移住者の研究に携わってきたゲストスピーカーの加藤氏は、自身は移住者ではないため、常に外からの視点でバンクーバーの日系コミュニティを見ているそうだ。加藤氏はこのコミュニティの特徴として、以下の三点を挙げた。
(1)Visibleな地理的中心がない。例えば、サンフランシスコのダウンタウンにはジャパンタウンがあり、それが日系コミュニティの地理的な中心となっているが、バンクーバーには、そのような中心がない。
(2)Nikkei(英語話者)と移住者(日本語話者)が分離している。
(3)「コミュニティ」=「非営利」団体・人。営利団体(ビジネス)がコミュニティの中核にいない。