スマートフォンやタブレット端末の特許や商標が無断で使用されたとして世界各地で訴訟合戦を繰り広げている米アップルと韓国サムスン電子が、裁判所判事立ち会いの和解会議を開くことに合意したと伝えられている。

裁判外紛争処理の道を選択

 モバイル端末や無線機器用のソフトウエア特許問題に詳しいブログサイト「フォス・パテンツ(FOSS PATENTS)」によると、アップルとサムスンの訴訟を担当している米カリフォルニア州北地区連邦地方裁判所のルーシー・コー判事が、両者に裁判外紛争処理の道を促し、和解会議への参加の意向を尋ねた。

サムスン電子、タブレット端末の販売差し止め訴訟で逆転勝訴 豪州

アップルとサムスンが繰り広げてきた訴訟合戦は、和解に漕ぎつけるか?〔AFPBB News

 両社はそれぞれの最高経営責任者(CEO)と法務顧問が代表として会議に出席することを裁判所に伝え、これを受けてコー判事がさっそく担当下級判事を任命した。

 開催日などの詳細は明らかになっていないが、会議は90日間という期限が設けられ、まもなく開始されるもようだ。これにより、双方のトップが直接協議に参加することになり、これまでになかった進展が見られるのではないかと言われている。

 アップルは昨年の4月、米グーグルのモバイルOS(基本ソフト)「アンドロイド(Android)」を採用するサムスンのスマートフォンやタブレット端末が、アップルのユーザーインターフェースや製品デザインを模倣したと主張し、カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁に提訴した。

 一方、サムスンも通信技術に関する特許がアップルに侵害されたとして提訴し、その後両社の訴訟合戦は世界各国に広がり、今では10カ国で20以上の訴訟が提起されている。

アンドロイドへの攻撃に執念を燃やしたジョブズ氏

 今回の和解会議に先立ち、アップルがサムスンや米モトローラ・モビリティなどの訴訟相手に対しライセンス契約を提案するなど、和解に向けて動き出したと伝えられていたが、こうした動きはティム・クックCEO新体制の下でアップルが変化してきた表れとも言われている。