質の高い時計を作り続ける時計王国スイスには、日本と同じように腕時計好きは多い。日本未入手のモデルは数多く、デザイン選びはもちろん、どこで買うかも考えるべき点の1つだ。
チューリヒの老舗高級時計・宝飾店Türler(テューラー)には、時計ファンが集まってくる (本文敬称略)
高級車1台に匹敵する腕時計が、次々に売れる
チューリヒ中央駅前、高級ブティックがひしめくにぎやかな駅通りを歩くこと約10分。大きな広場パラデプラッツに面した5つ星ホテル、サヴォイ・バウアー・アン・ヴィルの1階に、「Türler」の名が見える。
パラデプラッツは路面電車が多数停留して、人通りも一段と激しい。ところがTürlerの店内に一歩入ると、一転して、そこは静寂の世界だ。
長いカウンターが左右にあり、体を包み込む座り心地のいい皮製の椅子が並ぶ。男女スタッフがスーツに身を包み、高級ホテルのラウンジを彷彿させる。
立方体のショーケース10個ほどに、高級腕時計やTürlerオリジナルデザインのネックレスを陳列するほかは腕時計が見当たらない。ここでは、「こんなデザインの腕時計が見たい」という客の要望に応じて、スタッフが時計を取出して見せてくれるのだ。
Türlerは高級時計・宝飾店として名高い。
Omega(オメガ)、IWC、Jaeger-LeCoultre(ジャガー・ルクルト)、Vacheron Constantin(ヴァシュロン・コンスタンタン)、Audemars Piguet(オーデマピゲ)など、日本でもお馴染みの一流ブランドを中心に扱っている。開店日の月曜~土曜まで客が途絶えない。
同店では、高級車が買えるほどの数百万円の品が売れるのは日常のこと。極上の宝石を惜しみなくあしらったり、新しい技術の習得に余念がない熟練職人たちの技芸が反映した数千万~数億円という非常に高価な腕時計も販売している。
高額な腕時計はやはり富裕層に人気で、大企業幹部、芸能人、プロスポーツ選手、政府関係者、他国の皇族といった顔ぶれが含まれる。