マット安川 元横浜市長、現在は大阪市特別顧問として活躍する中田宏さん。大阪維新の会の内情やビジョン、自らも関わってきた地方自治の現状のほか、新著に記された政界やマスコミの裏舞台についても赤裸々にお話しいただきました。

区長の選考で重視したのは「区民に協力を求められる人」

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:中田宏/前田せいめい撮影中田 宏(なかだ・ひろし)氏
日本創新党代表幹事。1989年松下政経塾入塾(10期生)、1993年衆議院議員(~2002年、3期)、2002年横浜市長(~2009年)、2012年大阪市特別顧問就任。著書に『政治家の殺し方』ほか(撮影:前田せいめい、以下同)

中田 橋下(徹)さんに頼まれて、僕はいま大阪市の特別顧問をやっています。誤解されがちですが、大阪維新の会のお手伝いはあくまでボランティアであり、メンバーに加わっているわけではありません。

 われわれがやった「公募」についても混同されているようです。一応区別すると、ひとつは大阪24区の区長の公募、もうひとつは大阪維新の会が維新政治塾の塾生を募ったもので、後者は大阪市とは無関係です。

 24区の区長は、普通なら大阪市民から選ぶところ、全国から募集することにしました。蓋を開けたら文字通り北海道から沖縄まで、1460人もの方が応募してくれた。頭が下がるくらい熱心な方ばかりです。

 僕が一番重視した選考基準は、アレをしてあげます、コレをしてあげます、という人ではなく、区民に協力を求める、求められる人ということでした。

 この10年くらいの政治・行政の間違いは、次から次へとアレをするコレをすると空手形を切ってきたことです。この厳しい財政状況の中で、そんなことができないのは民主党のマニフェストを見ても分かるでしょう。

 まずはムダを削った上で、住民に協力を求める。これができない人は、行政なんかやらない方がいいんです。

橋下氏は「国政進出ありき」ではない

 橋下さんとは、この1週間で2度も「政治家なんて長くやりたくない」という話で盛り上がりました。「やることやって、さっさと足を洗いたいよな」と(笑)。

 僕自身、ただ家族を養うためだけなら、政治なんかに関わろうと思いません。橋下さんだって、府知事や市長を引き受けなくても、もっとお気楽に生きていけるんです。

 なのにどうして政治に首を突っ込んだかといえば、原動力は日本に対する危機感です。このままではどんどん国力が落ちていって、最後は自分の身に降りかかってくる。そのときになってぐちゃぐちゃ文句を言いたくないからやっている、というところがあります。

 いきおい彼には、衆院選にしゃしゃり出ようというつもりなど微塵もありません。ただ、あまりにも危機感が強いから黙ってはいられない。だから選挙には出ないまでも、関与はする。彼が国政、国政と言っているのはそういうことです。