マット安川 増税論に終始した越年を振りかえり、求められる政治改革、早ければ今年にもと噂される解散総選挙、これらを踏まえた与党、野党のとるべき道など、さまざまな今年の政界展望を政治ウォッチャー・浅川博忠さんにお話しいただきました。

消費増税軸に通常国会は荒れ模様。大規模な政界再編も

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:浅川博忠/前田せいめい撮影浅川 博忠(あさかわ・ひろただ)氏
政治評論家としてテレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)、『政権交代狂騒曲』(講談社文庫)など、著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

浅川 野田(佳彦)総理は消費税増税に向けて中央突破も辞さない構えです。非常に強気ですが、小沢(一郎)、鳩山(由紀夫)グループを中心に党内にもこれに反対する人が少なくありません。

 与党内部を一本化できるのか、国会が始まるまでに野党との協議をまとめられるのか? いずれにしても今度の通常国会はかなり荒れ模様になります。

 まず焦点となるのは、問責決議を受けた一川(保夫、防衛相)、山岡(賢次、消費者相)両大臣の後釜にだれを据えるかです。この2人は小沢グループ所属ですから、党内融和のためには同グループから後任を選ぶ必要がある。しかし消費税増税に反対している、いわば敵対関係にあるグループから選べるのかどうか。

 それができないとなれば、党内はいよいよ分裂含みになります。野党は早期解散だと張り切っていますから、与党がきちっと一本化されていないと政権が内部崩壊しかねません。

 増税積極派と消極派、あるいは改憲問題や普天間基地移設問題などをめぐるスタンスも絡んで、政界再編に発展する可能性もあります。

 東の石原(慎太郎、東京都知事)、西の橋下(徹、大阪市長)という東西のスターがどう動くかも、目が離せないところです。新党でも起ち上げたら、自己の保身のために合流する民主議員、自民議員も出てくるでしょう。

国民に犠牲を強いる前に、政府はわが身を削るべし!

 消費税率を2段階で10%まで上げる。それが民主党案ですが、日本の現状からすると10%は通過点に過ぎません。国と地方の借金はすでに1000兆円に及び、一方では少子高齢化に伴って社会保障費が膨れ上がってもいます。10%までのアップは後者に対応するためのもので、借金返済の原資は含まれていません。

 財務省に言わせればいずれ欧米並みに20%程度まで上げる必要があり、今の財務副大臣も17%まで上げないといけないと言っています。将来的には10%どころでは済まないことを、われわれは覚悟しておくべきです。